全唐詩



巻一百二十五

  王維

王維。字摩詰。河東人。エ書畫。與弟縉倶有俊才。開元九年。進士擢第。調太楽丞。坐累為済州司倉參軍。右拾
遺、監察御史、左補闕、庫部郎中。拝吏部郎中。天賓末。為給事中。安禄山陥両都。維為賊所得。服薬陽瘖。拘于菩
提寺。禄山宴凝碧池。維潜賦詩悲悼。聞于行在。賊平。陥賊官三等定罪。特原之。貴授太子中允。遷中庶子、中書舎
時人。復拝給事中。転尚書右丞。維以詩名盛於開元。天宝間。寧薛諸王駙馬豪貴之門。無不払席迎之。得宋之問輞川
別墅。山水絶勝。與道友裴迪。泛舟往来。弾琴賦詩。嘯詠終日。篤於奉佛。晩年長齋禪誦。一日。忽策筆作書數紙。
別弟縉及平生親故。舎筆而卒。贈秘書監。寶應中。代宗問縉。朕常於諸王坐聞維楽章。今存幾何。縉集詩六巻。文
四巻。表上之。勅答云。卿伯氏位列先朝。名高希代。抗行周雅。長揖楚辞。詩家者流。詩論歸美。克成編録。歎息良
深。殷璠謂維詩詞秀調雅。意新理愜。在泉成珠。著壁成繪。蘇軾亦云。維詩中有畫。畫中有詩也。今編詩四巻。

王維。字は摩詰。河東の人。書畫にエなり。弟、縉とともに俊才あり。開元九年。進士、擢第。調太楽丞。坐累して済州司倉參軍となる。右拾
遺、監察御史、左補闕、庫部郎中を歴て。吏部郎中を拝す。天賓末。給事中となる。安禄山、両都を陥す。維、賊の得る所となる。薬を服して陽瘖となる。菩
提寺に拘わる。禄山、宴を碧池に凝る。維、潜かに詩を賦し悲悼す。行在に聞こゆ。賊平ぐ。陥賊、官三等、罪を定む。特原之。貴授太子中允。遷中庶子、中書舎
時人。復た給事中を拝す。尚書右丞に転ず。維、詩名をもって開元に盛んなり。天宝の間。諸王駙馬豪貴之門に寧薛す。席を払わざるなく之を迎う。宋之問の輞川の
別墅を得る。山水絶勝。道友、裴迪と。舟を泛べて往来。琴を弾じ詩を賦し。嘯詠すること終日。佛を奉るに篤し。晩年、禪誦を長齋す。一日。忽ち筆を策り書を作ること數紙。
別に弟、縉、及び平生の親故に。舎筆して而して卒す。秘書監を贈る。寶應中。代宗、縉に問う。朕、常に諸王に坐して維の楽章を聞く。今、存するもの幾何ぞと。縉、詩六巻。文
四巻を集む。表して之を上る。勅答に云う。卿伯氏、位、先朝に列す。名高く希代。抗行周雅。長揖楚辞。詩家者流。詩論歸美。克成編録。歎息良
深。殷璠、謂う、維の詩詞、秀にして調、雅。意、新に、理、愜。泉在り、珠を成す。壁に著して繪を成すと。蘇軾、亦た云う。維、詩中に畫有り。畫中に詩有る也と。今、編詩四巻。

巻一百二十七

  王維

《送秘書晁監還日本國》
  舜覲群后。有苗不格。禹會諸侯。防風後至。動干戚之舞。興斧鉞之誅。乃貢九牧之金。始頒五瑞之玉。我開元天地
大宝聖文神武應道皇帝。大道之行。先天布化。乾元廣運。涵育無垠。若華為東道之標。戴勝為西門之候。豈甘心
於?杖。非徴貢於包茅。亦由呼耶来朝。舎於葡萄之館。卑彌遣使。報以蚊龍之錦。犠牲玉帛。 以将厚意。服食器
用。不宝遠物。百神受職。五老告期。況乎戴髪含歯。得不稽屈膝。海東國。日本為大。服聖人之訓。有君子之風。
正朔本乎夏時。衣裳同乎漢制。歴歳方達。継旧好於行人。滔天無涯。貢方物於天子。同儀加等。位在王侯之先。掌
次改観。不居蛮夷之邸。我無爾詐。爾無我虞。彼以好来。廃関弛禁。上敷文教。虚至實帰。故人民雑居。往来如市。
晁司馬結髪遊聖。負笈辞親。問礼於老。學詩於子夏。魯借車馬。孔丘遂適於宗周。鄭献縞衣。季札始通
於上国。名成太学。官至客卿。必斉之姜。不帰娶於高國。在楚猶晋。亦何屑於由余。遊宦三年。願以君?遺母。不
居一國。欲其畫錦還郷。荘?既顕而思帰。関羽報恩而終去。於是稽首北闕。裏足東轅。篋命賜之衣。懐敬問之詔。
金簡玉字。伝導経於絶域之人。方鼎彝尊。致分器於異姓之國。琅?台上。回望龍門。碣石館前。夐然島逝。鯨魚噴
浪。則萬里倒回。?首乗雲。則八風卻走。扶桑若薺。鬱島如萍。沃白日而?三山。浮蒼天而呑九域。黄雀之風動地。
黒蜃之気成雲。森不知其所之。何相思之可寄。?。去帝郷之故旧。謁本朝之君臣。詠七子之詩。佩両國之印。恢
我王度。諭彼蕃臣。三寸猶在。楽毅辞燕而未老。十年在外。信陵帰魏而逾尊。子其行乎。余贈言者。

積水不可極。安知槍海東。九州何處遠(一作所)。萬里若乗空。向國唯看日。帰帆(一作途)但信風。鷺身映天黒。
魚(一作蜃)眼射波紅。郷樹扶桑外。主人孤島中。別離方異域。音信若為通。

姚合称此詩及送丘為下第、観猟三首。 為詩家射G手。而以此篇圧巻。

 秘書晁監ひしょちょうかん日本国にほんこくかえるをおくる   王維おうい
積水せきすい きわむべからず。 いずくんぞらん蒼海そうかいひがし九州きゅうしゅう 何処いずことおき。 万里ばんり くうじょうずるがごとし。 くにむかいてただ帰帆きはん かぜまかす。 鰲身ごうしん てんえいじてくろく。
魚眼ぎょがん なみあかし。 郷樹きょうじゅ 扶桑ふそうそと主人しゅじん 孤島ことううち別離べつり まさいきことにす。 音信いんしん 若爲いkんつうぜむや。

 




巻一百三十八

  儲光羲

《洛中貽朝校書衡,朝即日本人也》
萬國朝天中,東隅道最長。吾生美無度,高駕仕春坊。
出入蓬山裏,逍遙伊水傍。伯鸞游太學,中夜一相望。
落日懸高殿,秋風入洞房。屢言相去遠,不覺生朝光。

 洛中らくちゅう朝校書衡ちょうこうしょこうおく ちょうすなわ日本人にほんじんなり   儲光義ちょうこうぎ
萬國ばんこく 天中てんちゅうちょうし, 東隅とうぐう みちもっともながし。 ちょう ごせい はかるなし, 高駕こうかして 春坊しゅんぼうつかえ。
出入しゅつにゅうす 蓬山ほうざんうち逍遙しょうようす 伊水いすいかたわら。 伯鸞はくらん 太學だいがくあそび, 中夜ちゅうや ひとたび相望そうぼうす。
落日らくじつ 高殿こうでんかかり, 秋風しゅうふう 洞房どうぼうる。 屢言るいげん ることとおく, おぼえず 朝光ちょうこうしょうずるを。





巻一百五十九

  孟浩然

孟浩然。字浩然。襄陽人。少隠鹿門山。年四十。乃遊京師。常於太學賦詩。一坐嗟伏。與張九齢、王維為忘形交。維
私邀入内署。適明皇至。浩然匿牀下。維以實對。帝喜曰。朕聞其人而未見也。詔浩然出。誦所為詩。至不才明主棄。
帝曰。卿不求仕。朕未(嘗)(常)棄卿。奈何誣我。因放還。採訪使韓朝宗約浩然偕至京師。欲薦諸朝。會與故人劇
飲懽甚。不赴。朝宗怒。辭行。浩然亦不悔也。張九齢鎭荊州。署為従事。開元末。疽發背卒。浩然為詩。佇興而作。
造意極苦。篇什既成。洗削凡近。超然獨妙。雖氣象清遠。而采秀内映。藻思所不及。當明皇時。章句之風大得建安
體。論者推李杜為尤。介其間能不愧者。浩然也。集三巻。今編詩二巻。

孟浩然。字は浩然。襄陽の人。少し鹿門山に隠す。年四十。乃ち京師に遊ぶ。常に太學に於いて詩を賦す。一坐、嗟伏す。張九齢、王維と忘形の交を為す。維
私に内署に邀入る。適たま明皇、至る。浩然、牀下に匿る。維、實を以て對す。帝、喜びて曰く。朕、其の人を聞き而して未だ見ざる也。浩然を詔し出す。詩、為す所を誦す。「不才にして明主に棄てらる」に至る。
帝、曰く。卿、仕を求ず。朕、未だ(嘗って)(常に)卿を棄てず。何すれぞ我を誣するや。因て放還す。採訪使、韓朝宗、浩然と約し偕に京師に至る。諸朝に薦せんと欲す。會たま故人と劇
飲、甚だ懽ぶ。赴かず。朝宗、怒る。辭して行く。浩然、亦た悔まざる也。張九齢、荊州を鎭す。署に従事と為る。開元、末。疽、背に發し卒す。浩然、詩を為す。佇興して作す。
造意極苦。篇什既成。洗削凡近。超然獨妙。氣象清遠と雖も。而して采秀内に映ず。藻思及ばざる所なり。明皇の時に當り。章句之風、大いに
體を安んいじ建て得たり。論者、李杜を推す尤と為す。其間に介し能く愧じざる者。浩然也。集三巻。今編詩二巻。


巻一百六十

  《和張丞相春朝對雪》
迎氣當春至,承恩喜雪來。潤從河漢下,花逼?陽開。
不睹豐年瑞,焉知燮理才。撒鹽如可擬,願?和羹梅。

《和張明府登鹿門作》
忽示登高作,能ェ旅寓情。弦歌既多暇,山水思微清。
草得風光動,虹因雨氣成。謬承巴里和,非敢應同聲。

《和張二自穰縣還途中遇雪》
風吹沙海雪,漸作柳園春。宛轉隨香騎,輕盈伴玉人。
歌疑郢中客,態比洛川神。今日南歸楚,雙飛似入秦。

《和賈主簿弁九日登?山》
楚萬重陽日,群公賞宴來。共乘休沐暇,同醉菊花杯。
逸思高秋發,歡情落景催。國人咸寡和,遙愧洛陽才。

《望洞庭湖,贈張丞相》
八月湖水平,涵?混太清。氣蒸雲夢澤,波撼岳陽城。
欲濟無舟楫,端居恥聖明。坐觀垂釣者,空有羨魚情。

《贈道士參寥》
蜀琴久不弄,玉匣細塵生。絲脆弦將斷,金徽色尚榮。
知音徒自惜,聾俗本相輕。不遇鐘期聽,誰知鸞鳳聲。

《京還贈張維》
拂衣何處去,高枕南山南。欲徇五鬥祿,其如七不堪。
早朝非?起,束帶異抽簪。因向智者?,游魚思舊潭。

《題李十四莊,兼贈?毋校書》
聞君息陰地,東郭柳林間。左右?澗水,門庭?氏山。
抱琴來取醉,垂釣坐乘閑。歸客莫相待,尋源殊未還。

《九日龍沙作,寄劉大??》
龍沙豫章北,九日掛帆過。風俗因時見,湖山發興多。
客中誰送酒,棹裏自成歌。歌竟乘流去,滔滔任夕波。



《題融公蘭若》
精舍買金開,流泉繞砌回。?荷熏講席,松柏映香台。
法雨晴飛去,天花晝下來。談玄殊未已,歸騎夕陽催。

《過景空寺故融公蘭若》
池上青蓮宇,林間白馬泉。故人成異物,過客獨潸然。
既禮新松塔,還尋舊石筵。平生竹如意,猶掛草堂前。

《題張野人園廬》
與君園廬並,微尚頗亦同。耕釣方自逸,壺觴趣不空。
門無俗士駕,人有上皇風。何處先賢傳,惟稱?コ公。

《李少府與楊九再來》
弱?早登龍,今來喜再逢。如何春月柳,猶憶?寒松。
煙火臨寒食,笙歌達曙鐘。喧喧鬥?道,行樂羨朋從。

《尋張五回夜園作》
聞就?公隱,移居近洞湖。興來林是竹,歸臥穀名愚。
掛席樵風便,開軒琴月孤。?寒何用賞,霜落故園蕪。

《裴司士、員司?見尋》
府僚能枉駕,家?複新開。落日池上酌,清風松下來。
廚人具?黍,稚子摘楊梅。誰道山公醉,猶能騎馬回。

《春中喜王九相尋》
二月湖水清,家家春鳥鳴。林花掃更落,徑草踏還生。
酒伴來相命,開尊共解酲。當杯已入手,歌妓莫停聲。

《李氏園林臥疾》
我愛陶家趣,園林無俗情。春雷百卉?,寒食四鄰清。
伏枕嗟公幹,歸山羨子平。年年白社客,空滯洛陽城。

《過故人莊》
故人具?黍,邀我至田家。克村邊合,青山郭外斜。
開筵面場圃,把酒話桑麻。待到重陽日,還來就菊花。

《張七及辛大見尋南亭醉作》
山公能飲酒,居士好彈箏。世外交初得,林中契已並。
納涼風颯至,逃暑日將傾。便就南亭裏,餘尊惜解酲。




《歳暮歸南山》

北闕休上書,南山歸敝廬。不才明主棄,多病故人疏。
白髮催年老,青陽逼歳除。永懷愁不寐,松月夜窗虚。

北闕に 書を上まつるを休め,南山 敝廬に歸る。不才 明主に棄られ,多病 故人 疏し。
白髮催し 年老い,青陽 歳除 逼まる。永く愁を懷いて寐ず,松月 夜窗 虚し。

《南山下與老圃期種瓜》
樵牧南山近,林閭北郭?。先人留素業,老圃作鄰家。
不種千株橘,惟資五色瓜。邵平能就我,開徑剪蓬麻。

《溯江至武昌》
家本洞湖上,?時歸思催。客心徒欲速,江路苦?回。
殘凍因風解,新正度臘開。行看武昌柳,?佛映樓臺。

《舟中曉望》
掛席東南望,青山水國遙。舳艫爭利?,來往接風潮。
問我今何去,天臺訪石橋。坐看霞色曉,疑是赤城標。

《自洛之越》
皇皇三十載,書劍兩無成。山水尋?越,風塵厭洛京。
扁舟泛湖海,長揖謝公卿。且樂杯中物,誰論世上名。

《途中遇晴》
已失巴陵雨,猶逢蜀阪泥。天開斜景遍,山出?雲低。
餘濕猶沾草,殘流尚入溪。今宵有明月,?思遠淒淒。

《歸至郢中》
遠遊經海?,返棹歸山阿。日夕見喬木,?關在伐柯
。 愁隨江路盡,喜入郢門多。左右看桑土,依然即匪他。

《夕次蔡陽館》
日暮馬行疾,城荒人住稀。聽歌知近楚,投館忽如歸。
魯堰田疇廣,章陵氣色微。明朝拜嘉慶,須著老?衣。

《他?七夕》
他?逢七夕,旅館益羈愁。不見穿針婦,空懷故國樓。
緒風初減熱,新月始臨秋。誰忍窺河漢,迢迢問鬥牛。

《夜泊牛渚,趁薛八船不及》
星羅牛渚夕,風退鷁舟遲。浦?嘗同宿,煙波忽間之。
榜歌空裏失,船火望中疑。明發泛潮海,茫茫何處期。

《曉入南山》
瘴氣曉氛?,南山複水雲。鯤飛今始見,鳥墜舊來聞。
地接長沙近,江從汨渚分。賈生曾吊屈,予亦痛斯文。

《初年樂城館中臥疾懷歸作》
異縣天隅僻,孤帆海畔過。往來?信斷,留滯客情多。
臘月聞雷震,東風感?和。蟄蟲驚?穴,?鵲眄庭柯。
徒對芳尊酒,其如伏枕何。歸嶼理舟楫,江海正無波。
《醉後贈馬四》
四海重然諾,吾嘗聞白眉。秦城游?客,相得半酣時。

《贈王九》
日暮田家遠,山中勿久淹。歸人須早去,稚子望陶潛。

《登?山亭,寄晉陵張少府》
?首風湍急,雲帆若鳥飛。憑軒試一問,張翰欲來歸。

《送朱大入秦》
遊人武陵去,寶劍直千金。分手?相贈,平生一片心。

《送友人之京》
君登青雲去,予望青山歸。雲山從此別,?濕薜蘿衣。

《送張郎中遷京》
碧溪常共賞,朱邸忽遷榮。豫有相思意,聞君琴上聲。

《同張將薊門觀燈》
異俗非?俗,新年改故年。薊門看火樹,疑是燭龍燃。

《張郎中梅園中》
綺席鋪蘭杜,珠盤折?荷。故園留不住,應是戀弦歌。

《北澗泛舟》
北澗流恒滿,浮舟觸處通。沿自有趣,何必五湖中。

《春曉》
春眠不覺曉,處處聞啼鳥。夜來風雨聲,花落知多少。

《洛中訪袁拾遺不遇》
洛陽訪才子,江嶺作流人。聞?梅花早,何如北地春。

《尋菊花潭主人不遇》
行至菊花潭,村西日已斜。主人登高去,?犬空在家。

《檀溪尋故人》
花伴成龍竹,池分躍馬溪。田園人不見,疑向洞中棲。

《揚子津望京口》
北固臨京口,夷山近海濱。江風白浪起,愁殺渡頭人。



巻一百六十一

   李 白

李白。字太白。隴西成記人。涼武昭王ロ九世孫。或曰山東人。或曰蜀人。白少有逸才。志気宏放。飄然有超世之心。
初隠岷山。益州長史蘇頲見而異之曰。是子天才英特。可比相如。天宝初。至長安。往見賀知章。知章見其文。歎曰。
子謫仙人也。言於明皇。召見金鑾殿。奉頌一篇。帝賜食。親為調羹。有詔供奉翰林。白猶與酒徒飲於市。帝坐沈香
亭子。意有所感。欲得白為楽章。召人。而白已酔。左右以水頮面。稍解。授筆成文。婉麗精切。帝愛其才。數今宴見。白
常侍帝。酔。使高力士脱鞾。力士素貴。恥之。摘其詩以激楊貴妃。帝欲官曰。妃輒沮止。白自知不為親近所容。懇求
還山。帝賜金放還。乃浪跡江湖。終日沈飲。永王璘都督紅陵。辟為僚佐。#29848;謀亂。兵敗。白坐長流夜郎。會赦得還。
族人陽冰為當塗令。白往依之。代宗立。以左拾遺召。而白已卒。文宗時。詔以白歌詩、裴旻剣舞、張旭草書為三絶 云。集三十巻。今編詩二十五巻。


李白。字は太白。隴西成記の人。涼武昭王ロ九世の孫。或は曰う山東人。或は曰う蜀人。白、少して逸才有り。志気、宏放。飄然、超世の心有り。
初め岷山に隠す。益州長史、蘇頲之に異を見て曰く。是の子、天才英特。相如に比すべしと。天宝の初。長安に至る。往きて賀知章に見ゆ。知章、其の文を見る。歎じて曰く。
子、仙人を謫す也りと。明皇に言う。召して金鑾殿に見る。頌、一篇を奉まつる。帝、食を賜う。親しく調羹を為す。詔、有り翰林に供奉す。白、猶を酒徒と市に飲む。帝、沈香
亭子に坐す。意に所感有り。白の楽章を為すを得んと欲す。人をして召す。而して白、已に酔う。左右、水を以って面を頮う。稍やく解く。筆を授けて文を成さしむ。婉麗、精切なり。帝、其の才を愛す。數しば宴し見る。白
常に帝に侍す。酔う。高力士をして鞾を脱がしむ。力士、素より貴なり。之を恥ず。其の詩を摘んで以って楊貴妃を激す。帝、官せんと欲して曰う。妃、輒ち沮きて止どむ。白、自から知りて親近所容を為さず。懇んごろに求めて
山に還える。帝、金を賜いて放ち還えす。乃ち江湖に浪跡す。終日、沈飲す。永王、璘、紅陵に都督たり。辟いて僚佐と為す。#29848;、亂を謀る。兵、敗る。白、坐して夜郎に長流す。會たま赦されて還るを得たり。
族人、陽冰、當塗令と為る。白、往きて之に依る。代宗、立つ。左拾遺を以ってす召。而して白、已に卒す。文宗時。詔して白の歌詩、裴旻剣舞、張旭の草書を以って三絶を為すと 云う。集三十巻。今、編詩二十五巻。



巻一百六十七

   李 白

     《秋浦歌十七首》
秋浦長似秋,蕭條使人愁。客愁不可度,行上東大樓。
正西望長安,下見江水流。寄言向江水,汝意憶儂不。
遙傳一掬涙,為我達揚州。

 秋浦しゅうほうた十七首じゅうななしゅ  李白りはく
秋浦しゅうほ とこしえにあきたり, 蕭条しょうじょうとして ひとをしてうれえしむ。 客愁かくしゅう からず, きてのぼる 東大樓とうたいろう
正西せいせいに 長安ちょうあんのぞみ, くだる 江水こうすいながれ。 げんよせて 江水こうすいむかうく, なんじ われおもうやいなや。
はるか一掬いっきくなみだつたえ, ために 揚州ようしゅうたつせよ。

秋浦猿夜愁,黄山堪白頭。清溪非隴水,翻作斷腸流。
欲去不得去,薄游成久遊。何年是歸日,雨涙下孤舟。

秋浦しゅうほ 猿夜えんや>愁うれい, 黄山こうざん 白頭はくとうたえたり。 清溪せいけい 隴水ろうすいあらず, かえってす 斷腸だんちょうながれ。
らんとっして るをず, 薄游はくゆう 久遊きゅうゆうる。 何年いずれのとし これ歸日きじつ雨涙うるい 孤舟こしゅうくだる。

秋浦錦駝鳥,人間天上稀。山雞羞淥水,不敢照毛衣。
兩鬢入秋浦,一朝颯已衰。猿聲催白髮,長短盡成絲。

兩鬢りょうびん 秋浦しゅうほる, 一朝いっちょう さつとしてすでおとろう。 猿聲えんせい 白髮はくはつもよおす, 長短ちょうたん ことごといとる。

秋浦多白猿,超騰若飛雪。牽引條上兒,飲弄水中月。
愁作秋浦客,強看秋浦花。山川如剡縣,風日似長沙。
醉上山公馬,寒歌ィ戚牛。空吟白石爛,涙滿K貂裘。
秋浦千重嶺,水車嶺最奇。天傾欲墮石,水拂寄生枝。
江祖一片石,青天掃畫屏。題詩留萬古,克嚥ム苔生。
千千石楠樹,萬萬女貞林。山山白鷺滿,澗澗白猿吟。
君莫向秋浦,猿聲碎客心。
邏人鳥道,江祖出魚梁。水急客舟疾,山花拂面香。
水如一匹練,此地即平天。耐可乘明月,看花上酒船。
淥水淨素月,月明白鷺飛。郎聽采菱女,一道夜歌歸。
爐火照天地,紅星亂紫煙。赧郎明月夜,歌曲動寒川。
白髮三千丈,縁愁似個長。不知明鏡裏,何處得秋霜。

白髪はくはつ 三千丈さんぜんじょううれいにって かくごとながし。 らず 明鏡めいきょううちいずれのところにか 秋霜しゅうそうし。

秋浦田舍翁,采魚水中宿。妻子張白鷴,結罝映深竹。
桃波(一作陂)一歩地,了了語聲聞。暗與山僧別,低頭禮白雲。


《永王東巡歌十一首》李白

永王正月東出師,天子遙分龍虎旗。
樓船一舉風波靜,江漢翻為雁鶩池。

永王 正月 東に師を出いだす,天子 遥かに分かつ 竜虎の旗はた。
樓船 一挙あがれば 風波静まり,江漢 翻りて爲なる 雁鶩(がんぼく)の池。

三川北虜亂如麻,四海南奔似永嘉。
但用東山謝安石,為君談笑靜胡沙。

雷鼓??喧武昌,雲旗獵獵過尋陽。
秋毫不犯三?ス,春日遙看五色光。

龍蟠虎踞帝王州,帝子金陵訪古丘。
春風試暖昭陽殿,明月還過?鵲樓。

二帝巡遊倶未回,五陵松柏使人哀。
諸侯不救河南地,更喜賢王遠道來。

二帝 巡遊 倶に未だ廻らず,五稜の松柏 人をして哀れしむ。
諸侯 救ず河南の地, 更らに喜ぶ 賢王 遠道を來きたるを。

丹陽北固是?關,畫出樓臺雲水間。
千岩烽火連滄海,兩岸旌旗繞碧山。

王出三山按五湖,樓船跨海次陪都。
戰艦森森羅虎士,征帆一一引龍駒。

長風掛席勢難回,海動山傾古月摧。
君看帝子浮江日,何似龍驤出峽來。

祖龍浮海不成橋,漢武尋陽空射蛟。
我王樓艦輕秦漢,卻似文皇欲渡遼。

帝寵賢王入楚關,掃清江漢始應還。
初從雲夢開朱邸,更取金陵作小山。

試借君王玉馬鞭,指揮戎虜坐瓊筵。
南風一掃胡塵靜,西入長安到日邊。

《上皇西巡南京歌十首》李白

胡塵輕拂建章台,聖主西巡蜀道來。
劍壁門高五千尺,石為樓閣九天開。

九天開出一成都,萬?千門入畫圖。
草樹雲山如錦?,秦川得及此間無。

華陽春樹號新豐,行入新都若舊宮。
柳色未饒秦地香C花光不減上陽紅。

誰道君王行路難,六龍西幸萬人歡。
地轉錦江成渭水,天回玉壘作長安。

誰か道う 君王 行路難と六龍 西幸 萬人歓ぶ。
地転じて 錦江 渭水と成り天廻りて 玉塁 長安と作なる。

萬國同風共一時,錦江何謝曲江池。
石鏡更明天上月,後宮親得照蛾眉。

濯錦清江萬里流,雲帆龍舸下揚州。
北地雖誇上林苑,南京還有散花樓。

錦水東流繞錦城,星橋北掛象天星。
四海此中朝聖主,峨眉山下列仙庭。

秦開蜀道置金牛,漢水元通星漢流。
天子一行遺聖跡,錦城長作帝王州。

水酷V青不起塵,風光和暖勝三秦。
萬國煙花隨玉輦,西來添作錦江春。

劍閣重關蜀北門,上皇歸馬若雲屯。
少帝長安開紫極,雙懸日月照乾坤。



《峨眉山月歌》李白

峨眉山月半輪秋,影入平羌江水流。
夜發清溪向三峽,思君不見下渝州。

峨眉山月 半輪の秋、影は平羌江水に入って流る。
夜 清渓を発して三峡に向かう、君を思えども見えず渝州に下る。


卷一百七十

《獄中上崔相渙》  李 白

胡馬渡洛水,血流征戰場。千門閉秋景,萬姓危朝霜。
賢相燮元氣,再欣海縣康。台庭有夔龍,列宿粲成行。
羽翼三元聖,發輝兩太陽。應念覆盆下,雪泣拜天光。

 獄中ごくちゅう崔相渙さいそうかんたてまつる  李白りはく

胡馬こば 洛水らくすいわた

血流りゅうけつ 戰場せんじょう

千門せんもん 秋景しゅうけい

萬姓ばんせい 朝霜ちょうそうあやう

賢相けんそう 元氣げんきやわら

ふたたよろこぶ 海縣かいけんすこやかなるを

台庭たいていに 夔龍きりゅうあり

列宿れっしゅく 成行せいこうさんたり

羽翼うよく三元聖さんげんせいあり

かかがきはつ兩太陽りょうたいよう

まさおもうべし 覆盆ふくぼんもと

なみだすすいで 天光てんこうはいさんことを



《流夜郎贈辛判官》李白

昔在長安醉花柳,五侯七貴同杯酒。氣岸遙?豪士前,
風流肯落他人後。夫子紅顏我少年,章台走馬著金鞭。
文章獻納麒麟殿,歌舞淹留玳瑁筵。與君自謂長如此,
寧知草動風塵起。函谷忽驚胡馬來,秦宮桃李向明開。
我愁遠謫夜郎去,何日金?放赦回。



卷一百七十四

《黄鶴樓送孟浩然之廣陵》李 白
故人西辭黄鶴樓,煙花三月下揚州。
孤帆遠影碧山盡,唯見長江天際流。


 黄鶴樓こうかくろうにて孟浩然もうこうねん廣陵こうりょうくをおくる  李白りはく

故人こじん 西にしのかた 黄鶴樓こうかくろう

煙花えんか 三月さんがつ 揚州ようしゅうくだ

孤帆こはん遠影えんえい 碧山へきざん

唯見ただみる 長江ちょうこう天際てんさいながるるを





卷一百七十九


《陪族叔刑部侍郎曄及中書賈舍人至遊洞庭五首》李白

洞庭西望楚江分,水盡南天不見雲。
日落長沙秋色遠,不知何處吊湘君。

南湖秋水夜無煙,耐可乘流直上天。
且就洞庭賖月色,將船買酒白雲邊。

洛陽才子謫湘川,元禮同舟月下仙。
記得長安還欲笑,不知何處是西天。

洞庭湖西秋月輝,瀟湘江北早鴻飛。
醉客滿船歌白苧,不知霜露入秋衣。

帝子瀟湘去不還,空餘秋草洞庭間。
淡掃明湖開玉鏡,丹青畫出是君山。

 族叔ぞくしゅく刑部侍郎曄けいぶじろうようおよ中書賈舍人ちゅうしょかしゃじんしばい洞庭どうていあそぶ  李白りはく

洞庭どうてい 西にしのぞめば 楚江そこうわかれ, みずつきて 南天なんてん くもず。
おちて 長沙ちょうさ 秋色しゅうしょくとおく, らず いずれのところにか 湘君しょうくんとむらわん。

南湖なんこ 秋水しゅうすい 夜煙よるけむりなく, むしながれじょうじて ただちてんのぼるべし。
しばら洞庭どうていいて 月色げっしょくおぎのり, ふねって さけわん 白雲はくうんへん

洛陽らくよう才子さいし 湘川しょうせんたくせられ, 元禮げんれい 同舟どうしゅう 月下げっかせん
長安ちょうあんて またわらわんとっすれども, らず いずれのところか 西天せいてん

洞庭どうてい 湖西こせい 秋月しょうげつかがやき, 瀟湘しょうしょう 江北こうほく 早鴻そうこうぶ。
醉客すいかく 滿船まんせん 白苧はくちょうたい, らず 霜露そうろ 秋衣しゅういるを西天せいてん

帝子ていし 瀟湘しょうしょう りてかえらず, むなし秋草しゅうそうあます 洞庭どうていかん
あわ明湖めいこいて 玉鏡ぎょくきょうひらき, 丹青たんせい えがいだす 君山くんざん

卷一百八十一

  李 白

《早發白帝城》
朝辭白帝彩雲間,千里江陵一日還。
兩岸猿聲啼不盡,輕舟已過萬重山。

朝に辞す白帝 彩雲の間、千里の江陵 一日にして還る。
両岸の猿声 啼いて尽きるに、軽舟 已に過ぐ 万重の山。




卷一百八十四

  李 白

《送内尋廬山女道士李騰空二首》
内ないの廬山ろざんに女道士おんなどうし李騰空りとうくうを尋たずぬるに送おくる

君尋騰空子,應到碧山家。
水舂雲母碓,風掃石楠花。
若愛幽居好,相邀弄紫霞。

君は尋たずぬ 騰空子,応に碧山の家に到べし。
水は舂(うすずく) 母雲の碓(うす),風は掃く 石楠の花。
若し幽居の好(よき)を愛さば,相い邀(むかえて) 紫霞を弄(もてあそ)ばん。

多君相門女,學道愛神仙。
素手掬青靄,羅衣曳紫煙。
一往屏風疊,乘鸞著玉鞭。

多とす君 相門の女なるに。
道を学びて 神仙を愛あいす。
素手 青靄を掬して。
羅衣 紫煙を曳ひく。
一(ひとたび)往く 屏風疊。
鸞に乗のりて 玉鞭を著す。

《贈内》李白

三百六十日,日日醉如泥。雖為李白婦,何異太常妻。

 ないおくる  李白りはく

三百六十日さんびゃくろくじゅうごにち

日日ひび ようでいごと

李白りはくるといえど

なんことならん 太常たじょうつま



《南流夜郎寄内》李白

夜郎天外怨離居,明月樓中音信疏。
北雁春歸看欲盡,南來不得豫章書。

 みなみのかた夜郎やろうながされないす  李白りはく

夜郎やろう 天外てんがい 離居りきょうら

明月めいげつ 楼中ろうちゅう 音信おんしんなり

北雁ほくがん 春帰しゅんきして れどもきんとす

南來なんらい ず 豫章よしょうしょ





巻二百十六

   杜甫

字子美。其先襄陽人。曾祖依藝為鞏令。因居 。甫天賓初応進士。不第。後献畝Ξ大礼賦。明皇奇之。召試文 章。授京兆府兵曹参軍。安録山陥京師。粛宗即位霊武。甫自賊中遯赴行在。拝左拾遺。以論救房琯。出為華州司功 参軍。関輔饑乱。寓居同州同谷県。身自負薪采梠。餔糒不給。久之。召補京兆府功曹。道阻不赴。厳武鎮成都。秦為 参謀、検校工部員外郎。賜緋。武與甫世舊。待遇甚厚。乃於成都浣花里種竹植樹。枕江結廬。縦酒嘯歌其中。武卒。 甫無所依。乃之東蜀就高適。既至而適卒。是歳。蜀帥相攻殺。蜀大擾。甫攜家荊楚。扁舟下峡。未維舟而江陵 亦乱。乃泝沿湘流。遊衡山。寓居耒陽。卒年五十九。元和中。帰葬偃師首陽山。元稹志其墓。天寶間。甫與李白齊 名。時稱李杜。然元槙之言曰。李白壮浪縦恣。擺去拘束。誠亦差肩美子矣。至若餔陳終始。排比聲韻。大或千言。 次獪數百。詞気豪邁。而風調清深。属對律切。而脱棄凡近。則李尚不能歴其藩群翰。況堂奥乎。白居易亦云。杜詩貫 穿古今。盡工盡善。殆過於李。元、白之論如此。蓋其出処労佚。喜楽悲憤。好賢悪悪。一見之於詩。 又以忠君憂 國。傷時亂爲本旨。讀其詩。以可知其世。故當時謂之詩史。舊集詩文共六十巻。今編詩十九巻。

杜甫とほ

あざな子美しびさき襄陽じょうようひと曾祖そうそげいって鞏令きょうれいる。 ってきょうる。天宝てんぽうはじめ進士しんしおうず。 だいならずのちΞ大礼賦さんだいれいふ献畝けんぼうす。 明皇めいこうこれをとす。してぶん しょうためす。
京兆府兵曹参軍けいちょうふへいそうさんぐんさずく。安録山あんろくざん 京師けいしおとす。粛宗しゅくそう霊武れいぶ即位そくいす。みずから 賊中ぞくちゅう行在あんざいのがおもむく。 左拾遺さしゅういはいす。ろんって 房琯ぼうかんすくう。いで華州司功かしゅうしこう 参軍さんぐんる。
饑乱きらん関輔かんほす。同州同谷県どうしゅうどうこくけん寓居ぐうきょす。 みずからまきりょる。 餔糒ほひきゅうされず。これひさしくす。 して京兆府功曹けいちょうふこうそうす。みち にしておもむかず。厳武げんぶ成都せいとちんす。そう
して参謀さんぼう検校工部員外郎けんこうこうぶいんげろうる。まわる。 ふるし。待遇たいぐうはなはだあつすなわち成都せいとおい花里かりすすたけう。かわまくらとしむすぶ。なかさけほしいままにしうたうそぶく。 っす。
ところし。すなわ東蜀とうしょくきて高適こうせきく。 すでいたりてせきっす。このとし蜀帥しょくすいあいころす。 しょくいにみだる。いえ荊楚けいそたずさえる。扁舟へんしゅうきょうくだる。 いまふね江陵こうりょうにいたらず
またみだる。すなわ湘流そうりゅう沿いて さかのぼる。衡山しょうざんあそぶ。耒陽らいよう寓居ぐうきょす。 卒年そつねん五十九ごじゅうきゅう元和中げんわちゅう首陽山しゅようざんかえほうむむ。元稹げんしん はかこころざす。天寶てんぽうかん 李白りはくひとしく
あり。とき李杜りとしょうす。しかして 元槙之言げんしんのげんいわく。李白りはく壮浪そうろう縦恣じゅうし拘束こうそくふるる。まことまた 美子しび差肩さけんするかないたらば終始しゅうしぶ。 聲韻せいいん排比はいひす。大或千言だいわくせんげん
次獪數百じかいすうひゃく詞気しき豪邁ごうまいしかして風調ふうちょう きよふかし。属對律切。しかして凡近ぼんきん脱棄だつきす。 すなわ藩翰はんかんこえあたわず。 いわん堂奥どうおく白居易はっきょいう。 古今ここん貫穿かんせんす。
こうつくぜんつくす。ほとんぐ。 元、白げん はくろんかくごとし。 けだ出処しゅっしょ労佚ろういつ喜楽きらく悲憤ひふんけんこのあくにくむ。いちいちこれいてる。  また忠君ちゅうくんってくにうれう。 ときみだれいたむは本旨ほんしり。 めば。ってし。 ゆえ當時とうじこれ詩史ししう。 舊集詩文共きゅうしゅうしぶんとも六十巻ろくじゅかん今編詩十九巻いまへんしじゅうきゅうかん





巻二百三十五

   賈 至

賈至。字幼鄰。洛陽人。父會。開元初掌制誥。至擢明經第。為單父尉。拜起舎人。知制誥。父子繼美。帝常稱之。
肅宗擢為中書舎人。坐小法。貶岳州司馬。寶應初。召複故官。除尚書左丞。大暦初。封信都縣伯。還京兆尹。右散騎
常侍。卒。諡曰文。集十巻。今編詩一巻。




巻三百八十六

   張籍

《哭孟寂》
曲江院裏題名處,十九人中最少年。
今日春光君不見,杏花零落寺門前。

 孟寂もうしゅくこくす  張籍ちょうせき
曲江きょくこう 院裏いんりだいするところ十九じゅうきゅう人中にんちゅう 最年少さいねんしょう
今日こんじつ 風光ふうこう きみえず, 杏花きょうか 零落れいらく 寺門じもんまえ





巻七百三十二

   朝 衡

朝衡。字巨卿。日本人。開元初。日本王聖武遣其臣粟田副仲満来朝。請従諸儒授経。仲満慕華。不肯去。易姓名曰
朝衡。歴左補闕。久之帰国。上元中。擢散騎常侍。詩一首。

朝衡。字は巨卿。日本人なり。開元の初め。日本王、聖武、其の臣、粟田、副、仲満を遣わし、来朝す。諸儒に従い、経を授くるを請う。仲満、華を慕う。肯えんぜず去る。姓名を易え、曰く、
朝衡。左補闕を歴る。之を久しくして、国に帰える。上元中。散騎常侍に擢んでらる。詩一首あり。

銜命還國作
銜命將辭國,非才忝侍臣。天中戀明主,海外憶慈親。
伏奏違金闕,騑驂去玉津。蓬莱郷路遠,若木故園隣。
西望憶恩日,東帰感義辰。平生一宝剣,留贈結交人。

命を銜んで、國に還らんとして作る
めいふくんで まさくにせんとす、 非才ひさい 侍臣じしんかたじけなくす。 天中てんちゅう 明主めいしゅい、 海外かいがい 慈親じしんおも
伏奏ふくそう 金闕きんけつり、 騑驂ひさん 玉津ぎょくしん蓬莱ほうらい 郷路きょうろとおく、 若木じゃくぼく 故園こえんとなる。
西望せいぼう おんおも東帰とうき かんずるとき平生せいぜいの 一宝剣いちほうけん留贈りゅうぞうす まじわりをむすびしひとに。











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Last modified 2014/07/01 First updated 2014/04/28