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王維作詩の背景 |
「王維年譜」 「唐王朝年表」 |
王維年譜1 699年 1歳 ~727年 29歳 王維年譜2 730年 32歳 ~747年 49歳 王維年譜3 750年 52歳 ~761年 63歳 唐王朝年表1 618年 高 祖 ~779年 代 宗 唐王朝年表2 779年 徳 宗 ~907年 哀 宗 |
「人名・ 用語・ 書名」 |
人名 王維 裴迪(はいてき) 宋之問 玄宗皇帝(李隆基) 楊貴妃 孟浩然 李林甫 高力士 楊 国忠 陶淵明 張九齢 杜甫 白居易 用語 輞川荘 商山四皓 亭(ちん) 典故(てんこ) 書名 文選(もんぜん) (原文)文選(もんぜん) |
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字句解釈 |
竹裏館 竹林の中の館(やかた)、あるいは、亭(ちん)。 幽篁 静かで奥深くくらい。竹林の館の中で吟じている。 長嘯 声を長引かせて歌う。 明月來相照 相は互いにではなく単に相手をという意。 阮籍、陶淵明(無限の琴)を踏まえる。また、夏目漱石の草枕に記述がある。 |
詩の鑑賞 |
王維の代表的作品。輞川集二十首の中で最も親しまれ、詩吟でよく詠われる。 |
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字句解釈 |
辛夷塢 辛夷の植えてある土手。 「辛夷」は日本では「こぶし」と読んでいるが、中国では紫木蓮(しもくれん)を指す。 (参考)「和漢古典植物考」寺山宏著 紅萼 赤い花びら。 澗戸 谷川沿いの家。 紛紛 みだれとぶさま。 |
詩の鑑賞 |
王維は、広い輞川荘にいろいろな樹木を植えて楽しんだ。 「木蘭柴」では朱モクレン、「辛夷塢」では白モクレンを詠っているのであろう。 ちなみに、日本の「こぶし」とモクレンは品種が異なる。遣唐使が間違えたのであろう。 |
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字句解釈 |
漆園 漆(うるし)の植えてある園。荘子の典故あり。 傲吏 奢り高ぶった役人 經世 身過ぎ世過ぎ。 闕 欠く。ここでは、自ら避けるの意。 婆娑 ①舞を舞うさま。②歩き回るさま。ここでは②。 |
詩の鑑賞 |
四書五経の儒教から、老壮の道教、更には佛教へと、王維の思想の変化が見える。 |
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字句解釈 |
椒 しょう、はじかみ。椒酒。「椒房」は香りのよい山椒の葉を塗り込んだ壁の夫人用の部屋。 桂尊 桂の酒樽、あるいは、桂花を浮かべた酒。花の香の時は木犀。木の香りの時は肉桂。 (参考)桂花陳酒 日本の桂(かつら)とは別物。 帝子 皇帝(堯帝)の子供。楚辞の九歌の典故あり。 杜若 「やぶみょうが」。日本では誤って「かきつばた」の別名ともする。 佳人 美人。ここでは、湘夫人のこと。 椒漿 おとそ。山椒をしたしたジュウス。 瑤席 珠で飾った美しい席。 |
詩の鑑賞 |
楚辞の世界に没入した、幻想の別世界に遊んでいる詩。平仄は近体詩の定型を満たしていない。 |
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字句解釈 |
櫻桃 さくらんぼ。この先代(高祖劉邦)を祭る行事は漢の景帝の頃から始まった。 芙蓉闕 芙蓉(はす)の形をした王宮の門。 紫禁 宮城。紫微は北極星の北にある星の名で天帝の居所。禁は普通人の入れないところ。 朱櫻 赤いサクランボ。 寢園 祖先を祭るおたまや。 春薦 春の祭りのお供え。 青絲籠 青い籠。「陌上桑」の故事あり。 中使 役人、宦官。 蔗漿 蔗漿はサトウキビのジュウス。二日酔いに利く。 |
詩の鑑賞 |
天宝九年、750年、王維52歳のとき母が亡くなり、足掛け3年の喪に服す。 喪が明けて文部郎中となったころ李林甫が死す。このころの宮廷詩人としての作。 サクランボを詠った詩は珍しい。春の華やかな様子が見える。 |
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字句解釈 |
野人 役人でない人。農夫。 朱櫻 サクランボ。 筠籠 竹の籠。筠は竹。 細寫 細心に器から器に移す。寫は水をそそぐの意もある。 訝 いぶかる。不思議に思う。感心する。 賜沾 たまわってうるおす。 擎出 捧げて出る。 玉箸 美しいはし。 轉蓬 あてどもなく転がるよもぎ。 |
詩の鑑賞 |
杜甫は安禄山の乱後成都に移った。たまたま、サクランボを送られて、昔のことを懐かしんだ。 |