第４８回講義 音声を聞くにはプラグインが必要です。 （ブラウザの設定にもよりますが音声を聞くには 「ブロックされているコンテンツを許可」し、 スタートボタンをクリックしてください。 尚、Windows10標準のブラウザーedgeでは音声再生ができません。 internetexplorer11をご使用ぐださい。） 2018.09.27　録音 （リンクはシフトボタンを押しながらクリックすると 別ウインドウでリンク先を見ることができて便利です。 音声も途切れません。）

　

杜牧作詩の背景

「杜牧年譜」 「唐代詩人年表」 「唐王朝年表」 「中国の歴史要約」

杜牧年譜１　８０３年　１歳　～８３９年　３７歳 杜牧年譜２　８４０年　３８歳　～８５２年　５０歳 唐代詩人年表１　５８０年　魏　徴　～７１８年　賈　至 唐代詩人年表２　７３５年　李　頎　～８４３年　魚玄機 唐王朝年表１　６１８年　高　祖　～７７９年　代　宗 唐王朝年表２　７７９年　徳　宗　～９０７年　哀　宗 中国の歴史要約１　 中国の歴史要約２　分裂の時代

「中国文学地図」

地名 　長安 　洛陽 　太源 　揚州 　琉璃廠 川名・湖名 　黄河 　渭水 　漢水

「春秋列国の形勢」

楚 　　秦 　　魯

「人名・ 用語・ 書名」

人名 杜牧 孟浩然 　李白 　杜甫 　白居易 　王維 　高祖（李淵） 　太宗（李世民） 　王莽 　煬帝 　魏徴 　杜 審言 　宋之問 　賀知章 　高宗 　則天武后 　中宗 　睿宗 　韋皇后 　玄宗皇帝（李隆基） 　楊貴妃 　阿倍仲麻呂（晁衡/朝衡） 　張九齢 　李林甫 　安禄山 　肅宗 　元　稹 　柳宗元 　韓　愈 　牛僧儒 　李徳裕 　李商隠 　温庭筠 　魚玄機 用語 　遣隋使 　貞観の治 　遣唐使 　開元の治 　安史の乱 　節度使 　唐朝官職 　宦官 　牛李の党争 　甘露の変 書名 　全唐詩

　

述懐 　　　唐　魏　徴 唐詩選上３０頁　　全唐詩 卷一十八

述懐 　　　魏　徴 中原還逐鹿，投筆事戎軒。 縱橫計不就，慷慨志猶存。 策杖謁天子，驅馬出關門。 請纓羈南越，憑軾下東藩。 郁紆陟高岫，出沒望平原。 古木吟寒鳥，空山啼夜猿。 既傷千里目，還驚九折魂。 豈不憚艱險，深懷國士恩。 季布無二諾，侯嬴重一言。 人生感意氣，功名誰複論。

述懐じつかい　　魏　徴ぎちょう 中原ちゅうげんに　還また鹿しかを逐おい 　筆ふでを投とうじて　戎軒じゅうけんを事こととす 縱橫じゅうおう　計はかるも就ならず 　慷慨こうがい　志こころざし猶なを存そんす 策杖さくじょう　天子てんしに謁えつし 　馬うまを驅かって　關門かんもんを出いず 纓えいを請こうて　南越なんえつに羈はし 　軾しょくに憑よりて　東藩とうばんを下ｋだす 郁紆いくうたる　高岫おうしゅうに陟のばり 　出沒しゅつぼつして　平原へいげんを望のぞむ 古木こぼくに　寒鳥かんちょう吟ぎんじ 　空山くうざんに　夜猿やえん啼なく 既すでに傷いたむ　千里せんりの目め 　還また驚おどろく　九折きゅうせつの魂こん 豈あに艱險かんけんを憚はばかり 　深ふかく國士こくしの恩おんを懷おもわらざらんや 季布きふに　二諾にだくなく 　侯嬴こうえいは　一言いちごんを重おもんず 人生じんせい　意気いきに感かんず 　功名こうみょう　誰だれか複また論ろんぜん

字句解釈	中原逐鹿　　　天下を狙う。 季布無二諾　　　季布は、秦末から前漢初期にかけての武将。はじめ楚の項羽配下だったが、のちに劉邦に仕えた。 侯嬴重一言　　侯嬴は、戦国時代の魏の隠者。侯生とも。大梁の夷門の門番をしていたが、70歳の頃、魏の公子の信陵君 （魏無忌）に礼を持って迎えられ食客となった。

詩の鑑賞	唐詩選劈頭の詩。豪壮雄大。

　

吟　詠　　　　小菅幸枝様　 山　行　　唐　杜　牧 漢詩鑑賞辞典５４７頁　　全唐詩卷二百七十三

山　行　　杜　牧 遠上寒山石徑斜， 白雲生處有人家。 停車坐愛楓林晩， 霜葉紅於二月花。

山行さんこう　　杜牧とぼく 遠とおく寒山かんざんに上のぼれば　石徑せっけい斜ななめなり 白雲はくうん　生しょうずる處ところ　人家じんか有あり 車くるまを停とどめて　坐そぞろに愛あいす　楓林ふうりんの晩くれ 霜葉そうようは　二月にがつの花はな於よりも紅くれないなり

字句解釈	山行　　　山歩き。 寒山　　　寂しい山。 石徑　　　石ころみち。徑はこみち。 白雲　　　仙人の縁語。 人家　　　仙人の住む家。 坐愛　　　そぞろに愛す。なんとなく、わけもなく。 楓林　　　楓樹。江南に多い。日本のカエデとは別種。 霜葉　　　霜にあって紅葉した葉っぱ。 紅於　　　於（より）もくれない。転じて、紅葉（もみじ）のことをいう。 二月花　　　旧暦の３月の花、桃の花。

詩の鑑賞	軽妙洒脱。晩唐の洗練された、静かな、平安な、絵にかいたような一詩。