<各項目の概要>

漢詩・囲碁・コンピューター
  漢詩と囲碁、囲碁とコンピュータ、漢詩とコンピュータ のそれぞれの係り・接点について、 小生が日頃興味を持っていることについてのお話しです。


漢詩と囲碁
  漢詩と囲碁は紀元前からの古い係わりがあります。囲碁は論語にも博奕として出てきます。 古来囲碁は、「琴棋書画」という教養人の必須科目でした。囲碁を詠んだ漢詩をいくつか紹介します。

 文 字 「碁」
  その前に先ず、囲碁の「碁」という語の表記法について、数種の文字を紹介します。すべて「同字」で意味は同じです。 「碁」漢音キ、呉音ゴ・ギ 平声「支」韻と辞書にあります。意味は@囲碁・将棋・すごろくの類、駒をつかって 競う遊戯。Aこま、碁石、棋子。B碁を打つ、また将棋を指す。

 川秀格一句
  昨年初夏に修善寺菊屋旅館で出会った七言一句です。昭和30年代に詠まれた一句で、漢詩は現代にも生きています。 川秀格は川格で当時の方因坊、相手は当時第1の打ちて呉清源です。高川の得意の情景が目に浮かびます。

 王 維 春園即事
  盛唐の大詩人、詩仏と言われる、若くして科挙に合格して高級官僚となり、画でも南画の祖である。長安南方の秦嶺山脈、 商山山麓の別荘輞川(もうせん)荘での一詩か。仏教に帰依し、自然を愛し、自然に溶け込んだお王維の様子がうかがえる。

 杜 甫 江 村
  盛唐の大詩人、李白の詩仙に対して詩聖と呼ばれる。才能に恵まれたが、時の権力者李林甫にうとまれ、科挙にも合格できず、 不遇な一生であった。特に安禄山の乱後、悲惨な生活であったが、一時成都に小康を得た。その時の長閑な様子が見える。

 白居易 池 上
  中唐の大詩人、政争のために、左遷され、九江、忠州など2,3の僻地を巡ったのち長安に還って閑職にあった時の作。 白居易は、白氏文集により、長恨歌をはじめ多くの詩が、紫式部、清少納言などをふくめて、日本でも愛唱された。

 王安石 棋
  北宋の政治家・詩人・文章家、唐宋八大家の一人、新法党の領袖。新法の特徴は大商人・大地主達の利益を制限して中小の 農民・商人たちの保護をすると同時に、その制度の中で政府も利益を上げるというところにある。司馬光旧法党に敗れ失脚。 毀誉褒貶さまざまでこの詩の解釈もいろいろあるようだ。

    蘇 軾 觀 棋
  北宋代の政治家、詩人、書家。東坡居士と号したので、蘇東坡(そとうば)とも呼ばれる。蘇洵の長子、弟は蘇轍であり、 この3人に韓愈・柳宗元・欧陽脩・曽鞏・王安石を加えた8人を「古文」の唐宋八大家という。碁を解さなかったという序の のある詩。過は第3子で碁が強かったようだ。


囲碁とコンピューター
  碁は紀元前からあるが、コンピューターとの係わりは近々50年前、1960年代からである。碁とコンピューターの係りは 人間同志の対局の道具としての役割りと、最近話題のAIの活用の面に見られる。

 囲碁とコンピュータの歴史
  対局の道具として、最初は指し手の通信に使われたことから始まり、MC、Win95の出現で、モニター上に碁盤が現われて リアルタイムの対局が出来るようになった。AI碁は急速に強くなり2016年春、アルファ碁の出現でプロ並み以上の実力となった。

 最近の話題
  「碁ワールド」2016年12月号に紹介された最近の話題。19路盤の合法局面数は171桁であるという。これが碁の宇宙で ある。今や碁は無限の世界から有限の世界となった。合法とは、碁のルールで、石を置くことの禁じられた所には置かないと 言うう意味です。


漢詩とコンピューター
  漢詩とコンピューターの係わりは、現在のところ、PCはデーターベースとしての活用されている。今や、膨大な中国古典が インターネット上に公開される時代となった。漢詩においても全唐詩を含め、多くの文献が公開されている。 AI囲碁のような、AI漢詩の動きは未だないようである。しかし、AI漢詩の時代がやってくるのではなかろうか。

 漢詩のデーターベース
  データベースとしては十分実用の段階に至っている。PC内に図書館を持っている時代である。しかも、強力な 検索機能を有する。例:全唐詩、宋詩。

 漢詩の規則
  漢詩作詩の規則は大きく2分される。韻平仄などの「形式」上の規則と「意味」を内容とする起承転結である。 前者はコンピューターの得意分野で、コンピューターで十分解決可能と考えられる。後者はコンピューターの 不得手分野で今後の課題であろう。

 「東」の平仄と韻
  平仄と韻について、文字「東」を例に、大漢和辞典の内容を紹介する。

 平仄基本形
  七言絶句の平仄規則の紹介です。

 七言一句の成り立ち
  七言一句の一例についての詳細規則の説明です。

 電子詩語集
  電子詩語集の紹介です。  一句創作
  七言一句創作支援ツールです。

 AI漢詩
  AI漢詩の可能性は?

 Aeneid
  漢詩の形式が整ったのは唐の時代8世紀ごろのようですが、Latin詩はローマ帝国の紀元前に形式が 完成されていたようです?ウェルギリウス(BC70−BC19)の一例です。

 Eureka machine
  19世紀には自動作詩機ができていたようです。AI詩のひとつの試みではないでしょうか?

 起承転結
  AI漢詩の難点は、「起承転結」が非常に苦手なことです。

 作家ですのよ
  AI小説が話題になっています。星新一の短編小説をデーターベースにした試みです。苦戦しているようです。

 東ロボくん断念
  東ロボくも一旦断念したようです。AIは「意味」(起承転結)を解さない。2016東大入試の国語第三問は 漢文の問題でしたがパスしたようです。原因は何でしょうか?


まとめ
  漢詩、囲碁の世界の一つの見方です。

 七言四句の数・19路盤局面数
  漢詩、囲碁のひとつの見方です。それぞの宇宙は驚くほど似ているのではないでしょうか?

 完全情報ゲーム、不完全情報ゲーム
  決定的違いの一つは、囲碁は完全情報ゲーム、漢詩は不完全情報ゲームであることのようです。

    しかしながら?
しかし、人間とAI、AIとAIの戦いはそう単純に割り切れるものではないように思います。


付 録
 漢詩フェスティバルのご案内
  神漢連のHPの漢詩フェスティバルの紹介です。


 

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