ブルーライト漢詩22
蚊
飛来倏忽止膚頻
飛び来たり 倏忽として(たちまち)
膚に止まること頻きりなり
吮血遁走猶候人
血を吮い 遁走して猶お人を候う
中断読書将撲処
読書を中断して 将に撲たんとする処
何辺巧隠小鳴身
何れの辺りにか 巧みに隠れ 小鳴りする身
解説
神奈川新聞平成26年7月 日日曜日版から転載
漢詩の作り方
≪漢詩アラカルト≫
上掲詩の結句は当初「小
鳴何処巧蔵身」だったが教
室で「蔵」を「隠」にして
上下を入れ替えよ、と指導
された。「蔵」は「隠して
見せない」の意で、「逃げ
隠れる」の意味はない。「隠」
は「隠れて見えない」だか
ら、こちらの方がよい、と
のこと。師はことあるごと
に「辞書は引くものではな
く、よく読むものだ」と言
う。本当は諸橋大漢和辞典
(分厚く重い、全14巻)を
開き、漢字の意味を確かめ、
詩の使用例を調べるべきな
のだが、不肖の弟子はつい
漢和中辞典で済ませて、怒
られる。
作者紹介
岡崎満義
神奈川県漢詩連盟会長
shinkanren@.jp
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