ブルーライト漢詩24

    憶岩見隆夫大兄

     本是多情多恨人
    本是もとこれ多情多恨(情の深い)人
     五旬筆陣絶儔倫
 五旬ごじゅん(五十年)の筆陣ひつじん 儔倫ちゅうりん(同業)を絶す
     談論風発甚憂国
     談論風発してはなはだ国を憂う
     忙裏時斟気自純
    忙裏 時にめば気おのずから純なり

解説

神奈川新聞平成26年9月 日日曜日版から転載

漢詩の作り方

≪漢詩アラカルト≫
 作詩がうまくいかないと きの打開策のひとつは、思 い切って7宇目の韻を変え てみることだ。上掲詩は、 完成する前は次のような作 品だった。
京洛青春磨筆鋒/談論風発 洗塵胸/政権批判精神健/ 忙裏時斟酒味濃
 冬韻(鋒/胸/濃)で作 ったのだが、「京洛青春」 と大学時代から始めたのが まわりくどい気がして、真 韻(人/倫/純)で作り直 した。結果、そのまま残っ たのは「談論風発」「忙裏 時斟」の8字だけ。テーマは 同じでも、下3字が変わる と気分一新の感じになる。

作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp

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