ブルーライト漢詩25

    限界集落風景

     秋冷熊猪出没頻
 秋冷ややかに熊猪 出没することしきりなり
     荒煙荒蕪食将貧
   荒煙荒蕪(炊事の煙少なく、田は荒れ)
     食まさひんならんとすればなり
     平生糧乏徘徊処
    平生(日頃)糧乏しく徘徊するところ
     白日成群来齧人
    白日群れを成し来たりて人を

解説

神奈川新聞平成26年10月 日日曜日版から転載

漢詩の作り方

≪漢詩アラカルト≫
   今年の全日本漢詩大会は9 月20日、仙台市で開かれた。 栄えある文部科学大臣賞は名 古屋市の木本久子さん作「湖 上暮景」だった。
  驟雨一過涼気生/湖雲散
  尽水天晴/渡頭入夜無人
  影/只有游船載月横
 一驟雨-過涼気生じ/湖雲 散じ尽くして水天晴る/渡頭
 (渡し場)夜に入って人影無 し/ただ游船の月を載せて横 たわる有るのみー「『載』が、 一宇千金。今までは人を載せ ていたが、真夜中には月を載 せるのである」と全日本漢詩 連盟、石川忠久会長の評。


作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp

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