ブルーライト漢詩26

    五十年前四万十川

     両岸荻蘆秋動時
   両岸の荻蘆てきろ(おぎやあし)秋動く時
     香魚成隊沂洄湄
     香魚(あゆ)隊を成し
 沂洄そかい(流れをさかのぼる)する(みぎわ)
     漁夫把帚碧漣掃
  漁夫ほうみ碧漣へきれん(青いさざなみ)を
     忽跳銀鱗沙渚奇
  たちまち跳る銀鱗沙渚(砂のなぎさ)奇なり

解説

神奈川新聞平成26年11月2日日曜日版から転載

漢詩の作り方

≪漢詩アラカルト≫
 漢詩教室の仲間・中島龍一 さんが「桜花盛開」という面白 い詩を作った。
 春到愁人生気回/千紅樹下傾觴杯/
 花顔少婦慰青眼/斜日帰途忘杖来
   ーー春到り愁人生気回る、千紅の  樹下觴杯を傾ける、花顔  の少婦(若い女性)青眼  (好意をもった眼)を慰め  る、斜日(夕方)帰途、  杖を忘れて来たるーー
 窪寺貫道先生は「3句目 の『慰』では弱い。『嬌』(な まめかしい)がいい。『妖』 ではとりこになって腰が抜 ける」。まさに「一宇の師」 だ。


作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp

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