ブルーライト漢詩30

     猫児びょうじ(ネコ)

     美毛肥肚一身柔
    美毛肥肚(ふとった体)一身柔らかく
     日食佳肴閑自偸
    日び佳肴(美味な料理)を食し閑自らぬす
     夜臥温室忘捕鼠
    夜は温室にし ねずみを捕らえるを忘れる
     爪牙無用不知憂
    爪牙は無用 憂いを知らず(太平楽)

解説

神奈川新聞平成27年4月5日日曜日版から転載

≪漢詩アラカルト≫

 神奈川県漢詩連盟では毎 春、初心者入門講座を開く。 卒業生は漢詩サークルをつ くり、さらに勉強を続けて いく。そんなサークルが金 星会、三水会、好文会、詩游 会、五友会、以文会、七歩 会、八起会と八つできたが、 この中の好文会が真っ先に 「好文会詩集」を刊行した。 メンバー9人が1人当たり 6~10首の詩とその背景を 解説文としてつけ、少しで も読みやすくする努力をし ている。会員Tさんの「春 日開花」は「一日恵芳随暖 風/一花濃艶發孤叢/一蜂 汲汲自西到/一蝶翩翩来自 東」と一を起承転結の1宇 目に並べる遊び心のある詩 となった。

作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp

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