ブルーライト漢詩32

読城田六郎詞兄詩初鰹魚有感
  城田六郎詞兄の詩初鰹魚を読み感あり

     旨酒鮮魚暑可忘
     旨酒(うま酒)鮮魚 暑忘るべし
     典妻多啖庶民望
   妻をてんじて)多くくらうは庶民の望み
     如今草食男児異
    如今(いま)草食男児は異なる
     肉食佳人欲典郎
 肉食の佳人(女子)は郎(男)を典ぜんと欲す

解説

神奈川新聞平成27年6月7日日曜日版から転載

≪漢詩アラカルト≫

 漢詩界の最長老で[鷗山] の雅号を持つ村内必典さん から著書「三槭庵詩集補遺」 を頂いた。詩集の後半は仲 間の「梅塘」関谷則さんと 七言絶句の前後聯(れん) を交互に作る聯句が330首 並んでいる。お二人とも90 歳を超え、パソコンのメー ルを使つてのやりとりだっ たとある。
 2012年6月の「新茶を喫 す」という詩一一。
 窓外雨霑籬畔花(梅)
 小斎閑坐試新茶(梅)
 菲菲馥気催懐旧(鷗)
 往昔隣翁蒸露芽(鷗)
 「窓外雨は沾ほす 籬畔 の花/小斎閑坐し 新茶を 試む/菲菲たる馥気 懐旧 催す/往昔隣翁 露芽を蒸 せしを」
 みごとな翁媼の応酬だ。

作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp

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