ブルーライト漢詩33
老犬麗王(レオ)
臨家巨犬貌猙獰
臨家の巨犬 貌は猙獰(荒々しく多毛)
却性温純自有情
却って性は温純(おとなしい)にして自ら情あり
昨夜驚聞終病死
昨夜驚き聞く 終に病死すと
廿年馴我可憐生
廿年(20年)我に馴れたり憐むべし
解説
神奈川新聞平成27年7月5日日曜日版から転載
≪漢詩アラカルト≫
5月に「道路の日本史」
(中公新書)という面白い
本を出版された武部健一さ
んだが、直後に亡くなられ
た。89歳。長年、日本道路
公団に勤め、各地に高速道
路を造ってきた方だが、漢
詩にも造詣が深く、ご自身
の漢詩集もある。
この本の中に大正天皇の
漢詩「日本橋」が引用され
ている。
絡繹舟車倍旧饒
高楼傑閣聳雲霄
神州道路従茲起
不負称為日本橋
「絡繹(らくえき)たる(連
なり続く)舟車 旧に倍し
て饒(おお)し/高楼傑閣
雲霄に聳(そび)ゆ/神
州の道路 茲(ここ)より
起る/負(そむ)かず称し
て日本橋と為すに」
全国の道路の起点たる日
本橋の風格が詠まれてい
る。
作者紹介
岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。
60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。
99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、
神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp
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