ブルーライト漢詩38

 

      紅 梅    

     菜屑深埋庭一隅
  菜屑さいせつ(野菜くず)を深く埋む庭の一隅
     作肥偏願老梅蘇
 肥(肥料)とひとえに願う老梅のよみがえるを
     五年移植驚看朶
    五年移植して驚き看る(枝)
     点点紅葩不負吾
   点点たる紅葩こうは(紅い花)吾にそむかず

解説

神奈川新聞平成28年2月7日日曜日版から転載

≪漢詩アラカルト≫

 孔子の里として知られる 佐賀県多久市では毎年「全 国ふるさと漢詩コンテス ト」を開催している。最優秀 賞の作品は陶板に刻まれ、 孔子像の近くの詩碑にはめ こまれる。昨年第18回のコ ンテストで、入選6作品の うち3作品が神奈川県漢詩 連盟の仲間だったのはうれ しかった。最優秀賞の池上 一利さんも神漢連会員。
   摩周湖
  水色旻天同蔚藍
  北山深処満晴嵐
  忽聞響震叢林裏
  群鹿下於千古潭
「水色旻天びんてん(秋空)とも蔚 藍うつらん(深い藍色)/北山深き処晴嵐(晴れた日の霞)満 つ/たちまち聞く響震叢林のうち/群鹿千古のふちにむかって下る」

作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。

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