ブルーライト漢詩43
白内障手術後有感
白内障手術後感有り
今朝驚見鏡中真
今朝驚き見る鏡中の真
皺面鬢霜愁殺人
皺面(顔のしわ)鬢霜人を愁殺す
細字分明能判読
細字分明に能く判読す
只慙心眼未精神
只だ慙ず心眼は朱だ精神ならざるを
(薄ほんやりしている)
解説
神奈川新聞平成28年7月4日日曜日版から転載
≪漢詩アラカルト≫
6月19日、川崎市教育文
化会館で、詩吟では全国屈
指とされる岳精流日本吟院
の吟道大会が開かれた。全
国から集まった数百入の男
女吟詠家が喉を競ったが、
中でも圧巻だったのは構成
吟「中国漢詩の全盛時代を
尋ねて」。吟詠、剣舞、映
像を巧みに組み合わせて、
孟浩然「春暁」、王翰「涼
州詞」、杜甫「春望」など
15首を四十数人で分担し朗
々と歌い上げた。
返り点などを生み出し、
漢詩を日本語として読み下
す方法を開発した9世紀の
日本人は素晴らしいが、意
味は正確に理解できても平
灰(ひょうそく)押韻とい
う詩の音楽性は失った。詩
吟は、その漢詩の音楽性を
補うものかもしれない。
作者紹介
岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。
60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。
99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、
神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
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