ブルーライト漢詩44
観秋野不矩画有感
秋野不矩画を観て感有り
落日乾坤金欲燃
落日の乾坤(天地)金燃えんと欲す
黒牛成列下長川
黒牛列を成して長川を下る
千年印度平常景
千年の印度 平常の景
老媼遥望物外天
老媼遥かに望む物外の天(俗世間を超える)
解説
神奈川新聞平成28年8月1日日曜日版から転載
≪漢詩アラカルト≫
全漢詩連の全国理事・評議員会が
5月に開かれた。その時、大地震が
起きた熊本から出席した林孝子さん
が「いとおしんできた形ある物たち
は一瞬にして壊れたが、二十数年続
けてきた漢詩は破壊されることな
く、かけがえのない大きな財産と分
かった」とあいさつ、みんな感動し
た。その時、石川忠久全漢詩連会長
が「贈林孝子女士」という七絶を披
露した。
春尽今遭夏気開
薫風吹度好楼台
詩盟南北東西士
中有肥州蔡女来
「春尽きて今夏気の開くに遭う/
薫風吹き度(わた)る好楼台/詩盟
南北東西の士/中に肥州の蔡女の来
る有り」
熊本の林さんを後漢に生きた女性
詩入、蔡瑛(さいえん)にたとえた。
作者紹介
岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。
60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。
99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、
神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
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