ブルーライト漢詩45
寄挙重三宅宏実選手
挙重の三宅宏実選手に寄す
調息凜乎驚鬼神
息を調え凛乎として鬼騨を驚かせん
頬膨脚震莫逡巡
頬膨らみ脚震えども逡巡する莫かれ
千斤高挙抜山力
千斤(重いもの)高く挙ぐ山を抜く力
微笑如憐撫鉄輪匡
微笑して憐しむ如く鉄輪を撫でる
解説
神奈川新聞平成28年9月4日日曜日版から転載
≪漢詩アラカルト≫
猛烈なスピードで進化し
ている人工知能(AI)の
ことが気になって仕方がな
い。将棋・囲碁では一流の
プロ棋士がAIに敗れた。
文芸の世界でも「星新一文
学賞」の1次選考を、AI
の書いた小説がパスした。
このAIを開発した学者に
よれば厂将棋や囲碁には厳
しいルールがあるので学習
しやすいが、小説はあいま
いで難しい。まだ20%くら
いしか力が出せない」とか。
漢詩には押韻、平仄(ひょ
うそく)、二四不同、二六対
などのきびしい規則がある。
AIが詩経以来の何十万首
の詩吸収学習し”深層学
習”を重ね始めたら、と思
うとその将来が怖くなる。
作者紹介
岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。
60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。
99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、
神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
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