ブルーライト漢詩48

    京都進々堂
        京都進々堂

     古風茶館幾春秋
    古風の茶館(喫茶店)幾春秋
     年少親書似雅遊
    年少書に親しむは雅遊のごと
     憶昔談賢師与弟
     憶う昔 賢を談ずる師と弟と
     浮生若夢転催愁
    浮生夢のごとうたうれいをもよお
       

解説

神奈川新聞平成28年12月4日日曜日版から転載

≪漢詩アラカルト≫

 今年h夏目漱石の没後 100年あたる。それを記 念して二松学舎大学が漱石 のアンドロイド(人間型口 ボット)を製作する。漱石 は二松学舎の前身の漢学塾 で学んだことがあり、晩年 は午前中に小説「明暗」を 書き、午後は漢詩を書いた。
 「真蹤(しんしょう)寂寞 杳(よう)として尋ね難し/  虚懐を抱いて古今を歩まん と欲す/ 碧水碧山何ぞ我有 らん/ 蓋天蓋地是れ無心/ 依稀たる暮色月草を離れ/  錯落たる秋声風林に在り/  眼耳双つながら忘れ身も亦 た失す/空中に独り唱う白 雲の吟」。これが漱石の人 生最後の七言律詩だ。
アンドロイドの声は孫の 夏目房之介さんが協力す る。

作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。

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