ブルーライト漢詩8


   憶中山清先生
     中山清先生をおも

     博学多才前半生
    博学多才 前半生
     近年金港盛詩名
    近年金港 詩名盛んなり
     春風駘蕩平生態
    春風駘蕩たいとう 平生の態
     耳底猶留温雅声
    耳底なお留む 温雅の声

解説

神奈川新聞平成25年5月5日日曜日版から転載

≪漢詩の作り方⑤≫

 今回は結句の下3字に「温 雅声」=平仄(ひょうそく) は○●○=を使いたかったの で、逆算して起句2宇目が● の仄起式の配置になった。七 言絶句は起承転結をやかまし くいわれる。起承転結の好例 として挙げられる俗謡が「京 都三条の糸屋の娘/姉は18、 妹は16/諸国大名は弓矢で殺 す/糸屋の娘は目で殺す」。 三段跳びでいえば助走とホッ プが起・承、ステップとジャ ンプが転9結。転句で場面が 大きく転換して結句に着地す るわけだが、実際の詩作では  「着地点」(結句の下3字) を先に詠むことが多い。

●●○○○●○ ●○○●●○○
博学多才前半生/近年金港盛詩名
○○○●○○● ●●○○○●○
春風駘蕩平生態/耳底猶留温雅声

○は平、●は仄 ◎は韻(生、名、声=庚韻)

作者紹介

岡崎満義
おかざき・みつよし
1936年鳥取県生まれ。京都大文学部卒。 60年文芸春秋入社。
「ナンバー」「文芸春秋」編集長など。 99年退職。全日本漢詩連盟常務理事、 神奈川県漢詩連盟会長。
茅ヶ崎市在住。
shinkanren@.jp

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