第5回講義(その2) 静夜思 唐 李白 漢詩を楽しむ60頁、漢詩鑑賞辞典192頁、岩波唐詩選中350頁 音声を聞くにはプラグインが必要です。 (ブラウザの設定にもよりますが音声を聞くには 「ブロックされているコンテンツを許可」し、 スタートボタンをクリックしてください。) |
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字句解釈 |
静夜思 静かな夜の思い。 牀 ベッド。床はゆか。 地上霜 地上に降った白い霜。 |
詩の鑑賞 |
李白は31歳のころ、安陸の小寿山での作。青年時の望郷の思いを詠っている。余計なことを言わず簡潔である。 李白は五言絶句に優れ、杜甫は七言絶句に優れている。 五言絶句の幼体、あるいは古詩。「是上」が仄仄。「頭頭」が重複、かつ「平平」、「月月」の重複など。孟浩然同様、五言絶句の形式の決まる前の作のようだが、 この詩は古今の名詩である。 |
黄鶴楼送孟浩然之広陵 唐 李 白 漢詩を楽しむ38頁、漢詩鑑賞辞典197頁、岩波唐詩選下45頁 李白28歳、孟浩然40歳の頃の作か? |
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字句解釈 |
黄鶴楼 武昌にある。孟浩然は襄陽から李白は安陸から出てこの地で会し、李白が孟浩然を見送った。 昔、辛氏という人の酒屋があった。そこにみすぼらしい身なりの魁偉な仙人がやってきて、酒を飲ませて欲しいという。 辛氏は嫌な顔一つせず、ただで酒を飲ませ、それが半年くらい続いた。 ある日、道士は辛氏に向かって「酒代が溜まっているが、 金がない」と言い、代わりに店の壁にみかんの皮で黄色い鶴を描き、去っていった。 客が手拍子を打ち歌うと、 それに合わせて壁の鶴が舞った。そのことが評判となって店が繁盛し、辛氏は巨万の富を築いた。 その後、再び店に仙人が現れ、笛を吹くと黄色い鶴が壁を抜け出してきた。仙人はその背にまたがり、 白雲に乗って飛び去った。辛氏はこれを記念して楼閣を築き、黄鶴楼と名付けたという。(「武昌志」) 広陵 揚州の別名。 烟花 春の花にかすみが立ち込めている風景。 揚州 揚子下流の繁華な商業都市。関連詩1,2,3、4参照 孤帆 一隻の帆掛け船。 天際 天の果て。 |
詩の鑑賞 |
李白28歳、孟浩然40歳の詩。 孟浩然が長安に向けて長江を下る李白を見送った詩。俺もそのうちに行くぞと李白は思っていただろう。 |
関連詩1 憶揚州 中唐 徐 凝 全唐詩巻474 |
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字句解釈 |
蕭娘 美女。芸者。 臉下 瞼(まぶた)のした。。 桃葉 桃の葉っぱ。 眉頭 美人の眉。 天下三分 この世の楽しみを三つに分ければ。 二分 そのうちの二分は。 無賴 無頼漢の無頼。親しみの裏返しの表現。宴会の楽しみ。 |
詩の鑑賞 |
天下の楽しみを三分すれば、その二は揚州にあるよ。揚州の夢。 |
関連詩2 憶揚州 日本 広瀬 建(淡窓) 漢詩の楽しみ124頁 |
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字句解釈 |
旗亭 料亭。 離愁 別離の悲しみ。 靉靆橋 メガネ橋。 橋頭 橋のほとり。 瓊江 長崎のこと。 |
詩の鑑賞 |
広瀬建が長崎の料亭で遊び、その夢のような遊びを、帰途、長崎から出る船上で詠った詩。 長崎はまるで小さな揚州であることよ。 |
関連詩3 墨上春遊 日本 永井荷風 |
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字句解釈 |
墨上 隅田川のほとり。 珠簾 料亭の美しいすだれ。 |
詩の鑑賞 |
隅田川の花見の詩。「十里珠簾二分月一湾春水満堤花」見事です。 |
関連詩4 黄鶴楼 唐 崔顥 漢詩の楽しみ37頁 全唐詩巻130 |
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字句解釈 |
歴歴 はっきりと。 萋萋 あおあおとしげるさま。 鸚鵡洲 長江の中洲。後漢末、武昌、禰衡の「鸚鵡賦」が文選にある。後漢の末、魏の黄祖が、江夏の太守だった時、 「鸚鵡賦」を作って名高かった文人禰衡をここで暗殺した故事があります。ときに禰衡は26歳の若さでした。 郷關 ふるさと。 煙波 もや。 |
詩の鑑賞 |
この詩は黄鶴楼を詠った代表的名詞である。崔顥が黄鶴楼に書き付けたこの詩を見た李白は これ以上の詩はできないといってここを去ったということである。 |
客中行 唐 李白 唐詩選下38頁 漢詩鑑賞辞典195頁 |
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字句解釈 |
蘭陵 昔、楚の国、山東省西端、酒の名産地。蘭は香草、酒の香り付けに使う。 鬱金 草の名。酒の香り付けに使う。今はチューリップのこと。 琥珀 樹脂の化石。酒の色の表現。 但 ただーーーしさえすれば。 客 旅人。 |
詩の鑑賞 |
李白34,5歳のころの作。安陸に妻子を留めて単身長江を下り洛陽にいたり、山西省、山東省に遊んだときの作である。 酒に酔った時にはここは他郷とは思えない。逆に言えば素面の時は他郷である。これは望郷の詩である。 語呂のよい詩で、吟ずば素晴らしいであろう。 |