第54回講義

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2019.04.25 録音

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杜牧作詩の背景



「杜牧年譜」


「唐代詩人年表」


「唐王朝年表」


「中国の歴史要約」

杜牧年譜1 803年 1歳 ~839年 37歳
杜牧年譜2 840年 38歳 ~852年 50歳

唐代詩人年表1 580年 魏 徴 ~718年 賈 至
唐代詩人年表2 735年 李 頎 ~843年 魚玄機

唐王朝年表1 618年 高 祖 ~779年 代 宗
唐王朝年表2 779年 徳 宗 ~907年 哀 宗

中国の歴史要約1 
中国の歴史要約2 分裂の時代


中国文学地図

地名  南昌(宣州)  揚州(地図)  揚州(解説)  南京  郢(エイ)  江 州(九 江)  荊州・江陵  洛陽  長安

川名・湖名  淮河  鄱陽湖  長江  洞庭湖  湘江  黄河


春秋列国の形勢

     


人名用語書名」

人名 杜牧 杜佑 沈傳師  牛僧儒  李徳裕  煬帝  隋 文帝  王羲之

用語  科挙  律令  大宝律令  牛李の党争

書名

参考名詩

     

 


再 掲

黄鶴樓送孟浩然之廣陵  唐 李 白

漢詩を楽しむ 38頁  全唐詩 巻一百七十四


 黄鶴樓送孟浩然之廣陵  李白

故人西辭黄鶴樓

煙花三月下揚州

孤帆遠影碧山盡

唯見長江天際流


 黄鶴樓こうかくろうにて孟浩然もうこうねん廣陵こうりょうくをおくる  李白りはく

故人こじん 西にしのかた 黄鶴樓こうかくろう

煙花えんか 三月さんがつ 揚州ようしゅうくだ

孤帆こはん遠影えんえい 碧山へきざん

唯見ただみる 長江ちょうこう天際てんさいながるるを


 

憶揚州  唐 徐 凝

全唐詩卷四百七十四


 憶揚州  徐 凝

蕭娘臉下難勝涙,

桃葉眉頭易得愁。

天下三分明月夜,

二分無賴是揚州。


 揚州らんけいおもう  徐 凝じょよ

蕭娘しょうじょう 臉下けんか なみだがた

桃葉とうよう 眉頭びとう うれいやす

天下てんか 三分さんぶん 明月めいげつよる

二分にぶんの 無賴ぶらい 揚州ようしゅう


字句解釈

徐凝   中唐・元和(げんな)年間の詩人。生涯無位無冠の人。

蕭娘   お嬢さん。妓女。蕭郎蕭娘 恋人同士。

臉下   眼の下。顔。

桃葉   王義之の子の 王献之の妾。美人のこと。

眉頭   眉のあたり。

無賴   かわいさあまってこのやろう。


詩の鑑賞

揚州の繁華を詠じた詩。天下のどんちゃん騒ぎの三分の二は揚州にあり。




 

發長崎   日本 広瀬淡窓

漢詩をたのしむ124頁


 發長崎   広瀬淡窓

旗亭風笛送離愁

佳境唯疑夢裏遊

靉靆橋頭二分月

瓊江也是小揚州


 長崎ながさきはつす  広瀬ひろせ淡窓たんそう

旗亭きてい風笛ふうてき 離愁りしゅうおく

佳境かきょう 唯疑ただうたが夢裏むりあそぶかと

靉靆あいたい橋頭きょうとう 二分にぶんつき

瓊江けいこう 也是またこれ 小揚州しょうようしゅう


字句解釈

広瀬淡窓 靉靆橋  めがね橋。

瓊江  長崎。美しい川。


詩の鑑賞

長崎の繁華を揚州になぞらえている。


 

吟 詠    伊藤光子様 

慈烏夜啼    唐 白居易

漢詩鑑賞辞典479頁 全唐詩卷四百二十四


 慈烏夜啼    白居易

慈烏失其母,

啞啞吐哀音。

晝夜不飛去,

經年守故林。

夜夜夜半啼,

聞者爲霑襟。

聲中如告訴,

未盡反哺心。

百鳥豈無母,

爾獨哀怨深。

應是母慈重,

使爾悲不任。

昔有呉起者,

母歿喪不臨。

嗟哉斯徒輩,

其心不如禽。

慈烏復慈烏,

鳥中之曾參。

 慈烏夜啼じうよるなく  白居易はくきょい

慈烏じう ははうしな

啞ࢉああとして 哀音あいおん

晝夜ちゅうや らず

もの ためえりうるお

聲中せいちゅう 告訴こくそするごと

いまだ 反哺はんぽこころつくさず

百鳥ひゃくちょう ははからんや

爾獨なんじひとり 哀怨あいえんふか

まされ ははいつくしみおもくして

なんじをして かなしみにたえざら使むべし

むかし 呉起ごきなるもの

はは 歿ぼつすれども のぞまず

嗟哉ああ 徒輩とはい

こころ きんかず

慈烏じう 慈烏じう

鳥中ちょうちゅうの 曾參そうしんなり


 

揚州三首其一    唐 杜 牧

全唐詩 卷五百二十二


 揚州三首其一    杜 牧

煬帝雷塘土,

迷藏有舊樓。

誰家唱水調,

明月滿揚州。

駿馬宜閑出,

千金好舊游。

喧闐醉年少,

半脱紫茸裘。

 揚州三首其ようしゅうさんしゅそいち  杜牧とぼく

煬帝ようだい 雷塘らいとうつち

迷藏めいぞう 舊樓きゅうろう

いえか 水調すいちょうとな

明月めいげつ 揚州ようしゅう滿

駿馬しゅんめは よろしくかんよりいだすべし。

千金せんきん 舊遊きゅうゆう

喧闐けんでん年少ねんしょうよわしめ

なかば 紫茸しじょうきゅうだつ


字句解釈

煬帝   隋の第2代皇帝。

雷塘   地名。煬帝の墓がある。

迷藏   目隠しあそび。迷樓(煬帝が作った)とかける。迷樓記

水調   水調歌。煬帝作、悲しい歌。

明月   明月の宴会。どんちゃん騒ぎ。

閑   馬屋の柵。

千金好舊游    千金を好し!舊遊に!

喧闐    バカ騒ぎ。

年少   自分のこと。

紫茸裘   細い毛の上等の上着。


詩の鑑賞

杜牧が揚州で遊びほうけた様子。



 

揚州三首其三    唐 杜 牧

全唐詩 卷五百二十二


 揚州三首其三    杜 牧

街垂千歩柳,

霞映兩重城。

天碧台閣麗,

風涼歌管清。

纖腰間長袖,

玉佩雜繁纓。

拖軸誠為壯,

豪華不可名。

自是荒淫罪,

何妨作帝京。

 揚州三首其ようしゅうさんしゅそいち  杜牧とぼく

まちる 千歩せんぽやなぎ

かすみえいず 兩重りょうじゅうしろ

てんへきにして 台閣たいかくうるわしく

かぜすずしくして 歌管かかんきよ

纖腰せんよう 長袖ちょうしゅうかん

玉佩ぎょくはい 繁纓はんえいまざ

拖軸たじく まことそう

豪華ごうか なづからずす

おのずかられ 荒淫こういんつみ

なんさまたげん 帝京ていきょうつくるを


字句解釈

兩重城   二つの重なった街。

纖腰   美女。

長袖   長い袖の衣。

玉佩   腰に下げた玉。

繁纓   馬の飾り。

拖軸   船の舵、諸施策。

自是荒淫罪,何妨作帝京。  煬帝の荒淫の罪であって、揚州が帝都に値しないことはない。


詩の鑑賞

楽しんでいる揚州をへの思い。



 

隋 苑    唐 杜 牧

全唐詩卷五百二十四


 隋苑    杜牧

紅霞一抹廣陵春,

定子當筵睡臉新。

卻笑吃虧隋煬帝,

破家亡國為誰人。

 隋苑ずいえん  杜牧とぼく

紅霞こうか 一抹いちまつ 廣陵こうりょうはる

定子ていし えんあたりて 睡臉すいけんあらたなり

かえつてわらう 吃虧きつきの ずい煬帝ようだい

いえやぶり くにほろぼすは ひとため


字句解釈

隋苑   隋の煬帝が揚州に作った庭園。

紅霞   紅霞は朝焼け、夕焼けのことだが、ここでは、遠くかすんでいる桃の花。

一抹   ひとはけ。

廣陵   揚州。

定子   牛僧儒の腰元。

當筵   宴席で。

睡臉   眠いまぶた。寝顔。

吃虧   ひどいめにあう。


詩の鑑賞

定子の眠そうな顔を見ているとひどい目に合った煬帝がおかしくなる。??? このような可愛い女子のせい(by)で、あるいは、ために(for)に国を滅ぼしたのかなあ? ああこのためか!



 

隋宮春    唐 杜牧

全唐詩卷五百二十五


 隋宮春    杜牧

龍舟東下事成空,

蔓草萋萋滿故宮。

亡國亡家為顏色,

露桃猶自恨春風。

 隋宮ずいきゅうはる  杜牧とぼく

龍舟りゅうしゅう ひがしくだり ことくう

蔓草まんそう 萋萋せいせい 故宮こきゅう滿

くにほろぼし いえほろぼすは 顏色がんしょくたま

露桃ろとう おのずから 春風しゅんぷううら


字句解釈

隋宮   煬帝の揚州の宮殿。

龍舟   天子の乗った船、煬帝の舟。

露桃   井戸端の露地の桃の花。

蔓草   つる草。

萋萋   さかんにしげる。


詩の鑑賞

揚州栄枯盛衰。



 

春宮曲    唐 王昌齡

唐詩選下58頁 全唐詩卷一百四十三


 春宮曲    王昌齡

昨夜風開露井桃,

未央前殿月輪高。

平陽歌舞新承寵,

簾外春寒賜錦袍。

 春宮しゅんきゅうきょく  王昌齡おうしょうれい

昨夜さくや かぜひらく 露井ろせいもも

未央みおうの 前殿ぜんでん 月輪げつりんたか

平陽へいようの 歌舞かぶ あらたにちょう

簾外れんがい 春寒しゅんかん 錦袍きんぽうたま


字句解釈

露井桃   井戸端の露地の桃の花。


詩の鑑賞





 

隋堤柳    唐 杜牧

全唐詩卷五百二十二


 隋堤柳    杜牧

夾岸垂楊三百里,

只應圖畫最相宜。

自嫌流落西歸疾,

不見東風二月時。

 隋堤ずいていやなぎ  杜牧とぼく

きしはさむ 垂楊すいりゅう 三百里さんびゃくり

まさに 圖畫とがに っともよろしかるべし

みずか流落りゅうらくきらい 西にしかえることはや

東風とうふうず 二月にがつとき


字句解釈


詩の鑑賞

長安に帰ることになり二月の揚州を早々と去った。




 

楊柳枝    唐 劉禹錫

全唐詩卷二十八


 楊柳枝  劉禹錫

煬帝行宮汴水濱,

數株殘柳不勝春。

昨來風起花如雪,

飛入宮牆不見人。

 楊柳枝ようりゅうし  劉禹錫りゅううしゃく

煬帝ようだいの 行宮あんぐう 汴水べんすいひん

數株すうしゅの 殘柳ざんりゅう はるたえ

昨來さくらい 風起かぜおこり はなゆきごと

宮牆きゅうしょうに り 


字句解釈


詩の鑑賞

揚州、煬帝懐古の詩。