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望 岳 (望 嶽) 唐 杜 甫 漢詩を楽しむ 45頁 全唐詩 巻二百一十六 |
「杜甫年譜」 |
杜甫年譜1 712年 1歳 ~739年 28歳 杜甫年譜2 740年 29歳 ~755年 44歳 杜甫年譜3 756年 45歳 ~763年 52歳 杜甫年譜4 764年 53歳 ~770年 59歳 |
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字句解釈 |
望岳 岳を遠くからながめる。 岳(嶽)は、①高い山 ②尊い山 ③固有名詞として五岳 ここでは⑤で泰山のこと。 五岳とは ①泰山(山東省 1504m東岳) ②華山(長安の東 華陰にある 1997m西岳) ③衡山(湖南省衡陽 1290m南岳) ④恒山(山西省北部 2017m北岳) ⑤嵩山(河南省 1440m中岳) 泰山は皇帝が封禅の義を行う山である。玄宗皇帝も封禅の義を行った。 岱宗 岱は泰山。宗は長で、宗家の宗。泰山は大平原中にあって目立つ山である。 夫如何 そもそも、それは一体全体何者か? 青未了 山が青々と終りなく続いている。 造化 ①天地をなりたたせている自然の道理 ②造物主。 鍾 ①あつめる(集、聚、蒐、輯、湊、--) ②かね(鐘) ③としより 龍鍾(ろうしょう) 年老いてやつれたさま。 ここでは①。 神秀 崇高な霊。 陰陽 陰陽五行説。 陰、陽、木、火、土、金、水。 陰は- 陽は+。 昏曉 昏ーー夕方、くらい、曉ーー明け方、あかるい。 蕩胸 むねをゆりうごかす。感激してむねがどきどきする。 曾雲 重なった雲、層雲。 雲が湧き上がるのをみて胸がさわぐ。 決眥 目を見開て見つめる。 會當 将来かならず、きっとーーするぞ。 凌絶頂 頂上に登る。 一覧 ①一度見る ②一通り見る ③一目で見渡す ここでは③。 衆山小 周囲の小さな山々。孟子に故事がある。孔子が泰山から眺めて国が小さいと言った。 |
詩の鑑賞 |
杜甫29歳の作。杜甫の若いころの詩は少ない。この詩は残された詩のなかで最も若い時の貴重な詩である。 これは杜甫の得意とする律詩である。李白は絶句を得意とする。李絶杜律。 杜甫の詩は一般的に沈鬱だとの説があるが、この詩は若さが漲っている。やる気満々希望に満ちている。 杜甫の若さによるが、よく治まった「貞観の治」と並び称される「開元の治」の時代背景も影響しているようだ。 杜甫の生まれた年に、玄宗皇帝が即位し、その翌年に年号が開元に改まった。杜甫は開元の治の申し子である。 |
經鄒魯祭孔子而歎之 唐 玄宗(李隆基) 漢詩を楽しむ 46頁 全唐詩 巻三 |
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字句解釈 |
經魯祭孔子夫子 玄宗は魯で 孔子を祭った。 歎之 孔子が孔子の理想を達成できなかったことをなげく。 夫子何為者 夫子は先生のことで孔子を指す。孔子とは何を為す者か、いったいどういう人か。 杜甫の「望岳」の「岱宗夫如何」はこの句と似かよっている。杜甫はこの詩を見て倣ったのであろう。 棲棲 いそがしいさま。 《論語・憲問》微生畝謂孔子曰:「丘何為是栖栖者與、無乃為佞乎」孔子曰:「非敢為佞也,疾固也。」 《漢書・敘傳上》棲棲皇皇 busy&brilliance 地猶鄹氏邑 孔子を祭った地は、今もなお、鄹さんの住んでいた村である。 《史記・孔子世家》孔子生魯昌平郷陬邑。其先宋人也,曰孔防叔。防叔生伯夏,伯夏生叔梁紇。紇與顏氏女野合而生孔子,禱於尼丘得孔子。魯襄公二十二年而孔子生。生而首上圩頂,故因名曰丘云。字仲尼,姓孔氏。 魯王宮 孔子の旧宅を魯王が宮殿にしてつかった宮。 歎鳳嗟身否 立派な聖天子がでないので鳳も現れない。われやんぬるかな!。自分もお終いだ!。と孔子は歎じた。 《論語・子罕》子曰:「鳳鳥不至,河不出圖,吾已矣夫!」The Master said, "The Feng bird does not come; the river sends forth no map - it is all over with me!" 傷麟怨道窮 折角現れた麒麟が死んで傷ましいことだ。道も窮した。と孔子は怨んだ。 《孔叢子・記問》叔孫氏之車卒曰:「子鉏商樵於野而獲獸焉。衆莫之識,以為不祥,棄之五父之衢。」冉有告夫子曰:「有麕而肉角,豈天之妖乎?」夫子曰:「今何在?吾將觀焉。」遂往,謂其御高柴曰:「若求之言,其必麟乎!」到視之,果信。言偃問曰:「飛者宗鳳,走者宗麟,為其難致也。敢問今見其誰應之?」子曰:「天子布德,將致太平,則麟鳳龜龍先為之祥。今周宗將滅,天下無主,孰為來哉?」遂泣曰:「予之於人,猶麟之於獸也。麟出而死,吾道窮矣。」乃歌曰:「唐虞世兮麟鳳遊,今非其時來何求,麟兮麟兮我心憂。」 兩楹奠 孔子廟の二本の柱(楹)の間のお供え(奠)。 當與夢時同 孔子は、自分が祭られる夢を見たが、明王が出なければでめだろう、はたして誰が祭ってくれるだろうかと言った。今、自分(玄宗)は孔子を祭って夢をかなえたぞ! 《禮記・檀弓上》夫子曰:「而丘也殷人也。予疇昔之夜,夢坐奠於兩楹之間。夫明王不興,而天下其孰能宗予?予殆將死也。」蓋寢疾七日而沒。And last night I dreamt that I was sitting with the offerings to the dead by my side between the two pillars. 《史記・孔子世家》「天下無道久矣,莫能宗予。夏人殯於東階,周人於西階,殷人兩柱閒。昨暮予夢坐奠兩柱之閒,予始殷人也。」後七日卒。 |
詩 吟 涼州詞 唐 王 翰 漢詩を楽しむ 30頁 漢詩鑑賞辞典 133頁 全唐詩 巻一百五十六 |
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畫 鷹 唐 杜 甫 全唐詩 巻二百二十四 |
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字句解釈 |
素練 素はしろ。玄は黒。練はねりきぬ。(白い絹布に鷹が描かれている。) 風霜起 風霜①かぜとしも②ねんげつ 星霜③困難④おごそか、きびしい ここは④鷹の絵にきびしい雰囲気が出ている。 蒼鷹 しろい鷹。 作殊 平凡でない。 ?身 みをそびやかす。肩をいからせる。(?は大漢和にあるが、uniコードにはない字。) 狡兔 すばしこい兎。 側目 ①目をそばめる②目をそばだてる。 愁胡 ①愁いを含んだ胡人。②胡をうれう。故里を思って愁いている。 絛鏇 絛はひも。鏇は①ろくろ②かなぐ ここは②、鷹の足につけた金具。 軒楹 軒端のはしら。 何當 いつかきっとーーーするであろう。推量。 平蕪 雑草の荒れ地。 |
詩の鑑賞 |
杜甫33歳、開元から天宝に変った、天宝3年、安禄山の乱の作。 鷹を借りて自分のことを言っている。未だ自信漫々、杜甫の意気込みが見える。 |