第31回講義

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2017.01.26 録音

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白居易 作詩の背景




「白楽天年譜」




「唐王朝年表」

白楽天年譜1 772年 1歳 ~800年 29歳
白楽天年譜2 801年 30歳 ~815年 44歳
白楽天年譜3 816年 45歳 ~826年 55歳
白楽天年譜4 827年 56歳 ~839年 68歳
白楽天年譜5 842年 71歳 ~846年 75歳


唐王朝年表1 618年 高 宗 ~779年 代 宗
唐王朝年表2 779年 徳 宗 ~907年 哀 宗



中国文学地図

地名  杭 州
川名・湖名  長江  黄河  洞庭湖  淮河  渭水


「人名・用語・書名」

人名  憲 宗  穆 宗  元 稹  韓 愈
用語  刺史  司馬  長史  科挙  宦官  進士

     

 

再掲


春題湖上  唐 白居易

全唐詩卷四百四十六


 春題湖上  白居易

湖上春來似畫圖,

亂峰圍繞水準鋪。

松排山面千重翠,

月點波心一顆珠。

碧毯線頭抽早稻,

青羅裙帶展新蒲。

未能抛得杭州去,

一半句留是此湖。


 はる湖上こじょうだいす  白居易はくきょい

湖上こじょう 春來はるきたりて 畫圖がと

亂峰らんぽう 圍繞いじょう みずたいら

まつ山面さんめんはい千重せんじゅうみどり

つき波心はしんてん一顆いっかたま

碧毯へきたんの 線頭せんとう 早稻そうとう

青羅せいらの 裙帶くんたい 新蒲しんぽ

いま杭州こうしゅうなげうあたわず

一半いっぱん 句留こうりゅうするは みずうみ


字句解釈

湖上   みずうみ(西湖)のほとり。(「うえ」ではない。)

鋪   ①しく、②みせ。ここは、①。

排   ①おしのける、②ならべる。ここは、②。

碧毯   みどりの絨毯。

一顆珠   ひとつぶのしんじゅ。

青羅   あおいうすぎぬ。

裙帶   スカート。

展   のべる、ひろげる、ひろがる。展開する。

一半  半分。


詩の鑑賞

白居易は長安の政争に倦み、822年7月杭州に着任、823年まで足掛け3年滞在する。
824年、53歳の作。3年の任期が尽きようとしている。西湖での作。
世事をはなれ、自然の情景に溶け込んだ美しい詩である。特に結句がよい。
白居易は、西湖に白堤を作った、二百数十年後、北宋の蘇軾は、蘇堤を作った。




 

潮   唐 白居易

全唐詩卷四百四十六


 潮  白居易

早潮纔落晩潮來,

一月周流六十回。

不獨光陰朝複暮,

杭州老去被潮催。


 うしお  白居易はくきょい

早潮そうちょう わずかちて 晩潮ばんちょうたる

一月いちげつ 周流しゅうりゅうすること 六十回ろくじゅっかい

ひと光陰こういんあさとなりくれとなるのみならず

杭州こうしゅうに るは うしおうながさる


字句解釈

潮   杭州湾で生ずる海潚。特に旧暦8月の満潮時、大潮の時が有名。弁当を持って見学に行く。アマゾンも有名。
潮:あさのうしお、汐:くれのうしお、潮汐

早潮   朝のうしお

纔    わずかに。①すこしばかり。②やっと ここは②やっと落ちたと思ったら。

光陰   光は太陽、陰は月。時間。年月。光陰如矢。

     

詩の鑑賞

824年、白居易53歳、杭州での作品。潮を見て老いを嘆いた。このころ、病気がちであった。眼病、喘息。
論語の、子在川上曰、「逝者如斯夫。不舎昼夜」が下敷きになっているか?



 

紫陽花  唐 白居易

全唐詩卷四百四十三


 紫陽花  白居易

招賢寺有山花一樹、無人知名。
色紫気香、芳麗可愛、頗類仙物。
因以紫陽花名之

何年植向仙壇上,

早晩移栽到梵家。

雖在人間人不識,

與君名作紫陽花。


 紫陽花しようか  白居易はくきょい

招賢寺しょうけんじ山花一樹さんかいちじゅり。  ひとし。
いろむらさきにしてかんばしく、  芳麗ほうれいあいすべく、すこぶる仙物せんぶつるいす。
って紫陽花しようかってこれづく。

いずれのとしにか 仙壇せんだんほとりおい

早晩そうばん うつえて 梵家ぼんけいたれる

人間じんかんに りといえども ひとらず

きみあたえて 紫陽花しようか


字句解釈

紫陽花     あじさい。日本原産。中国のは違う。中国では、綉球、あるいは、八仙花。

仙壇    仙界の花壇

向   おいて。於、仄韻、向、平韻。

早晩   ①早いと遲い、②早かれ遅かれ、③近いうちに、④いずれのときか、ここは、④。

人間   じんかん。世間。


詩の鑑賞

オランダ、東インド商会医師、シーボルト(ドイツ人)が紫陽花の学名を、妾の名、 「おたきさん」にちなんで、Hydrangea Macrophylla Otaksaとした。


 

西湖留別  唐 白居易

全唐詩卷四百四十六


 西湖留別  白居易

征途行色慘風煙,

祖帳離聲咽管弦。

翠黛不須留五馬,

皇恩只許住三年。

綠藤陰下鋪歌席,

紅藕花中泊妓船。

處處回頭盡堪戀,

就中難別是湖邊。


 西湖留別せいこりゅうべつ   白居易はくきょい

征途せいと行色こうしょく 風煙ふうえんさんたり

祖帳そちょう離聲りせい 管弦かんげんむせぶ

翠黛すいたいもちいざれ 五馬ごばとどむるを

皇恩こうおん ゆるす 三年さんねんじゅうするを

綠藤りょくとう 陰下いんか 歌席かせき

紅藕こうぐう 花中かちゅう 妓船ぎせんはく

處處しょしょ こうべめぐらせば ことごとうるにえたり

就中なかんずく わかがたきは湖邊こへん


字句解釈

西湖    西湖

留別   別れの心を後に留める。思いを残す。

征途   旅路。

行色   旅立ちの様子。

風煙   かぜともや。漢文では「風煙慘ふうえんさんたり」だが、漢詩では、「慘風煙」がゆるされる。

慘   みじめ、いたましい。自分の心が。

祖帳   別れの宴。道祖神の傍らでの別れの宴。

離聲   別れの歌。

翠黛   みどりのまゆずみ。ここでは、みどりの山山。

不須   すべからくーーーせざるべし。--しても無駄ですよ。

五馬   4頭だての馬車につけ馬1頭。普通は4馬、皇帝は6馬。

紅藕   赤い蓮の花。

就中難別是湖邊。   「暮立」の結句「就中断腸是秋天」に類す。


詩の鑑賞

白居易53歳、最高傑作の一詩。起句と承句は対をなす。杭州に別れるにあたって、充分に推敲した詩。
西湖の景色の懐かしんで詠んだ詩。西湖には白居易の作った白堤、蘇東坡の作った蘇堤がある。
白居易の最高傑作3詩を選ぶとすれば、と、君もし問わば、次の2詩とこの1詩である。
八月十五日夜禁中獨直對月憶元九
香爐峰下新卜山居草堂初成偶題東壁



 

再掲


立 暮  唐 白居易

漢詩鑑賞辞典476頁 全唐詩卷四百三十七


 立 暮  白居易

黄昏獨立佛堂前,

滿地槐花滿樹蝉。

大抵四時心總苦,

就中腸斷是秋天。


 くれつ  白居易はくきょい

黄昏こうこん ひとぐつ 佛堂ぶつどうまえ

滿つる 槐花かいか 滿つるせみ

大抵たいてい 四時しじ こころすべくるしきに

就中なかんずく はらわたたたるるは 秋天しゅうてん

字句解釈

黄昏   たそがれ。

佛堂   母を祀った仏堂。

槐   えんじゅ。あかしやににる。花は白、黄色。

大抵   おおよそ、おおかた。多分(perhaps)ではない。

四時   1年、春夏秋冬。1月、晦(かい)・朔(さく)・弦(げん)・望(ぼう)。1日、黄昏(こうこん)(午後8時)・後夜(ごや)(午前4時)・早晨(そうじん)(午前10時)・晡時(ほじ))(午後4時)。

苦   かなしい。

就中   とりわけ。

腸斷    故事あり


詩の鑑賞

白居易四十歳のとき、母(陳氏)が亡くなり、長安東方70~80Kmの下邽(かけい)で3年の喪に服することになった。 これまでの詩と趣が変わって、この世の哀愁が詠われている。



詩 吟  内山義浩様

涼州詞   王翰



 涼州詞   王翰

蒲萄美酒夜光杯,

欲飲琵琶馬上催。

醉臥沙場君莫笑,

古來征戰幾人回。


 涼州詞りょうしゅうし   王翰おうかん

蒲萄ぶどう美酒びしゅ 夜光やこうはい

まんとっすれば 琵琶びわ 馬上ばじょうもよお

うて沙場さじょうす きみわらうことなか

古來こらい 征戰せいせん 幾人いくにんかえ


 

再 掲


八月十五日夜禁中獨直對月憶元九   唐 白居易

漢詩を楽しむ80頁 漢詩鑑賞辞典468頁 全唐詩卷四百三十七


 八月十五日夜禁中獨直,
  對月憶元九  白居易

銀台金闕夕沈沈,

獨宿相思在翰林。

三五夜中新月色,

二千里外故人心。


渚宮東面煙波冷,

浴殿西頭鐘漏深。

猶恐清光不同見,

江陵卑濕足秋陰。

 八月十五日夜禁中はちがつじゅうごにちきんちゅう獨直ひとりちょくし、
 つきたいして元九げんきゅうおもう  白居易はくきょい

銀台ぎんだい 金闕きんけつ 夕沈沈ゆうべちんちん

ひと宿しゅくして 相思あいおもい 翰林かんりん

三五夜中新月色さんごやちゅう 新月しんげついろ

二千里外にせんりがい 故人こじんこころ

渚宮しょきゅうの 東面とうめん 煙波冷えんぱひややか

浴殿よくでんの 西頭せいとう 鐘漏深しょうろふか

おそる 清光せいこう おなじざることを

江陵こうりょう 卑濕ひしつにして 秋陰しゅういん


字句解釈

禁中   宮中。

銀台   銀台門。または銀の高殿。

金闕   門の上の高殿。

夕沈沈   夜が更けるさま。

相思   相手のことを憶う。(お互いに憶うではない。)

翰林   翰林院、玄宗時代にできた役所。

新月   ①出たばかりの月。②清らかな月。③満月に対する三日月。ここは①。

渚宮   江陵にある三国時代の楚の宮殿。汀の離宮。

煙波   もやの立ち込めた水面。

浴殿   長安の宮殿。

鐘漏   鐘と水時計。

江陵   三国時代楚の都。郢(えい)。 卑濕   湿気の多い。

詩の鑑賞

白居易の親友元 稹(げんじん)が楚の江陵(荊州、三国時代の郢)に左遷された。
長安から江陵にいる友を懐かしんでいる。長安と江陵は直線距離は約500km(千里)であるが、旅の行程としては1000km (二千里)はある。
「三五夜中新月色 二千里外故人心」古今第一の名対句である。また、長安と江陵をABBAで詠む、律詩の対句の技巧が凝らされている。
この詩は、和漢朗詠集はもちろん、源氏物語(須磨の巻)、謡曲などにも引用されている。



 

再掲


香爐峰下新卜山居草堂初成偶題東壁   唐 白居易

漢詩を楽しむ18頁 漢詩鑑賞辞典499頁  全唐詩卷四百三十九


 香爐峰下新卜山居
 草堂初成偶題東壁  白居易

日高睡足猶慵起,

小閣重衾不怕寒。

遺愛寺鐘欹枕聽,

香爐峰雪撥簾看。

匡廬便是逃名地,

司馬仍為送老官。

心泰身寧是歸處,

故郷何獨在長安。


 香爐峰下こうろほうかあらた山居さんきょぼく
 草堂そうどうはじめてたまたま東壁とうへきだいす   白居易はくきょい

日高ひたかねむれるもくるにものう

小閣しょうかくきんかさねてさむさをおそれず

遺愛寺いあいじかねまくらそばだてて

香爐峰こうろほうゆきすだれかかげて

匡廬きょうろ便すなわのがるるの

司馬しばろうおくるの官為かんた

心泰こころやす身寧みやすきは するところ

故郷こきょうなんひと長安ちょうあんのみにらんや


字句解釈

香爐峰     廬山にある香爐の形をした山。独立峰ではなく連山。 廬山の廬はいおり。廬山には李白も一時いたことがある。

卜山居    卜はうらなう。卜居は家を建てること。

草堂     草ぶきの粗末な家、自分の家。

題     書きつける。

初成     初めてできたのではなく、できたばかりの意。

猶慵起     起きるのが面倒だ。

小閣     二階建ての小さな家。閣は2階建。

重衾     衾(しとね)はどてら、か。

香爐峰雪撥簾看     清少納言 枕草子 第二百九十九段 
「雪のいと高う降りたるを例ならず御格子まゐりて、炭びつに火おこして、物語などして集まりさぶらうに、 「少納言よ、香炉峰の雪いかならむ。」と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、 笑はせたまふ。人々も「さることは知り、歌などにさへ歌へど、思ひこそよらざりつれ。 なほ、この官の人にはさべきなめり。」と言ふ。」

欹枕     枕をちょっと立てる。

匡廬     廬山のこと。

逃名     名声など俗世間のことから逃れた。

司馬     長官は刺史、司馬はその補佐。本来は馬を司る官だが実際は左遷された人の閑職。

歸處     落ち着くところ。

     

詩の鑑賞

中唐の大詩人、白居易(号は白楽天)の詩の中で日本人に最もよく知られた詩である。
44歳の時に長安の宮廷の派閥闘争に敗れて左遷の身となり、司馬となって蘆山に居をなした時の詩であり 不遇の身の屈折した感情が読み取れる。
心中に憤懣が渦巻いているがそれを表に出さず、閑職の朝寝を幸いとして落ち着くところは長安のみではなかろうと嘯いている。
悪く言えば負け惜しみ、よく言えば精神の強さがあり、孟浩然、杜甫とはまた違った趣がある。



 

再掲


飲 湖 上 初 晴 後 雨 二 首 其 二   北宋 蘇 軾

漢詩を楽しむ43頁  鑑賞辞典622頁


 飲 湖 上 初 晴 後 雨
   二 首 其 二  蘇 軾

水 光 瀲 灔 晴 方 好 ,  

山 色 空 濛 雨 亦 奇 。

若 把 西 湖 比 西 子 ,  

淡 粧 濃 抹 總 相 宜 。


 湖 上こじょうむ はじはれ あめ    蘇 軾そしょく

水 光すいこう 瀲 灔れんえん ruby>晴 方はれまさに

山 色さんしょく 空 濛くうもう あめまたなり

西 湖せいこって 西 子せいしせば

淡 粧たんしょう 濃 抹のうまつ すべよろ



 

宿湖中   唐 白居易

卷四百四十七


 宿湖中  白居易

水天向晩碧沈沈,

樹影霞光重疊深。

浸月冷波千頃練。

苞霜新橘萬株金。

幸無案牘何妨醉,

縱有笙歌不廢吟。

十隻畫船何處宿,

洞庭山脚太湖心。


 湖中こちゅう宿しゅくす  白居易はくきょい

水天すいてん ばんかいいぇ 碧沈沈へきちんちん

樹影じゅえい 霞光かこう 重疊ちょうじょうとしてふか

つきした冷波れいは 千頃せんかいれん

しもつつまる新橘しんきつは 萬株ばんしゅきん

さいわい案牘あんとくなし なんよいさまたげん

たと笙歌有しょうかあるも ぎんはいせず

十隻じゅっせき畫船がせん いずれのところにか宿しゅくさん

洞庭山脚どうていさんきゃく 太湖たいこしん


字句解釈

湖中   太湖のなか。

碧沈沈 沈沈は:しずかなさま。

霞光   ゆうやか。

浸月   月が水面にうつる。

千頃練   頃は、広さの単位、1頃は100歩、1歩=1.8アール。練は練り絹。

案牘   書類。案は、しらべる、牘は、公文書。

畫船   美しい舟。

洞庭山   太湖の中にある山。

     

詩の鑑賞

824年、白居易53歳、杭州(呉)の任期が終わり長安にいったん帰るが、翌825年、54歳の時、再び、 今度は蘇州(越)の刺史となって赴任する。蘇州には呉越同舟の太湖がある。このころ、病気がち。
太湖に遊んだ詩。




 

太湖石   唐 白居易

卷四百四十七


 太湖石  白居易

煙翠三秋色,

波濤萬古痕。

削成青玉片,

截斷碧雲根。

風氣通岩穴,

苔文護洞門。

三峰具體小,

應是華山孫。


 太湖石たいこせき  白居易はくきょい

煙翠えんすい 三秋さんしゅういろ

波濤はとう 萬古ばんこあと

削成さくせいす 青玉せいぎょくへん

截斷さいだんす 碧雲へきうんこん

風氣ふうき 岩穴がんけつとお

苔文たいぶん 洞門とうもんまも

三峰さんぽう たいしてしょうなり
まさこれ 華山かさんまごなるべし


字句解釈

太湖石   蘇州太湖にある石灰岩、奇怪な形をしている。鑑賞用として庭に飾る
煙翠   みどりのもや。

三秋   初秋、中秋、晩秋。

雲根  くものね、雲の生ずる元。

華山   名山。3つの峰をもつ、2、200m。

     

詩の鑑賞

825年、白居易54歳、蘇州に1年、刺史として赴任した。
826年、洛陽に帰るとき太湖石を持ち帰った。





 

對酒五首 其二   唐 白居易

巻四百四十九


 對酒五首 其二  白居易

蝸牛角上爭何事,

石火光中寄此身。

隨富隨貧且歡樂,

不開口笑是癡人。


 さけたいす  白居易はくきょい

蝸牛かぎゅう 角上かくじょう 何事なにごとをかあらそ

石火せっか 光中こうちゅう 

とみしたがい ひんしたがい しばらく歡樂かんらくせん

くちひらいてわらわざるは 癡人ぎじん


字句解釈

蝸牛角上爭   蝸牛は、かたつむり。出所は、荘子で、魏と斉の争いに関する故事。つまらない争いのこと。
荘子
戴晉人曰:「有所謂蝸者,君知之乎?」曰:「然。」「有國於蝸之左角者曰觸氏,有國於蝸之右角者曰蠻氏,時相與爭地而戰, 伏尸數萬,逐北旬有五日而後反。」君曰:「噫!其?言與?」曰:「臣請為君實之。君以意在四方上下有窮乎?」君曰:「無窮。」 曰:「知遊心於無窮,而反在通達之國,若存若亡乎?」君曰:「然。」曰:「通達之中有魏,於魏中有梁,於梁中有王。王與蠻氏,有辯乎?」 君曰:「無辯。」

不開口笑是癡人   これも、荘子を踏まえる。
荘子
丘之所以?我者,若告我以鬼事,則我不能知也;若告我以人事者,不過此矣,皆吾所聞知也。今吾告子以人之情:目欲視色, 耳欲聽聲,口欲察味,志氣欲盈。人上壽百?,中壽八十,下壽六十,除病?、死喪、憂患,其中開口而笑者, 一月之中不過四五日而已矣。天與地無窮,人死者有時,操有時之具而託於無窮之間,忽然無異騏驥之馳過隙也。 不能?其志意,養其壽命者,皆非通道者也。丘之所言,皆吾之所棄也,亟去走歸,無復言之!子之道,狂狂汲汲, 詐巧?偽事也,非可以全真也,奚足論哉?」
孔子再拜趨走,出門上車,執轡三失,目芒然無見,色若死灰,據軾低頭,不能出氣。歸到魯東門外,適遇柳下季。 柳下季曰:「今者闕然數日不見,車馬有行色,得微往見跖邪?」孔子仰天而歎曰:「然。」柳下季曰:「跖得無逆汝意若前乎?」 孔子曰:「然。丘所謂無病而自灸也,疾走料虎頭,編虎須,幾不免虎口哉!」

     

詩の鑑賞

若い時は論語、老年は荘子、と言われる如く、白居易も晩年、荘子に傾いたようだ。 達観した詩になっている。





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Last modified    First updated 2016/12/10