第26回講義 音声を聞くにはプラグインが必要です。 (ブラウザの設定にもよりますが音声を聞くには 「ブロックされているコンテンツを許可」し、 スタートボタンをクリックしてください。 尚、Windows10標準のブラウザーedgeでは音声再生ができません。 internetexplorer11をご使用ぐださい。) |
白居易 作詩の背景 |
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字句解釈 |
六宮 天子の後宮。6殿あった。 粉黛 おしろいとまゆずみ。 凝脂 白く固まった脂肪。美人の肌の比喩。 漁陽 安禄山の任地。 鞞鼓 馬上で鳴らす攻め太鼓。 驚破 おどろかす。破は強意の助辞。 霓裳羽衣曲 西域伝来の舞曲の名。玄宗が作ったともいう。 花鈿 螺鈿作りの花の簪。 朝朝暮暮情 楚の懐王の故事を踏まえる。 闌干 涙がはらはらと落ちるさま。 比翼鳥 雌雄それぞれ一目、一翼で常に一緒に飛ぶ鳥。 連理枝 幹は二本で枝が二つの木。 綿綿 長く続いて絶えぬさま。 |
詩の鑑賞 |
白居易三十五歳、盩厔県(ちゅうちつけん、陝西省周至県)に赴任した時の作。盩厔県の北は馬嵬である。 此のとき、馬嵬で楊貴妃が逝って50年目にあたり、友人(王質夫)の勧誘によってこの詩を作った。 玉井先生の「長恨歌」全編の講義録はここにあります。 |
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字句解釈 |
王十八 王質夫。白居易に「長恨歌」を作ることを勧めた友人。 歸山 ①官をやめて隠棲する。故郷に帰る。②僧侶が自分の寺に帰る。③道教では「死ぬ」こと。ここは①。 寄題 その場に行かないで詩を「題」すること。「題」とは詩を書きつけること。 太白峰 太白山。 到來 「帰去来」と同様な用法。「来」は強意の助辞、意味はない。「到+目的語+来」の使い方あり。 潭底 淵(ふち)のそこ。 洞門 洞穴の入口。 惆悵 がっかりして悲しむ。 菊花時節 秋、酒、陶淵明を思わせる。 |
詩の鑑賞 |
白楽天が都に呼び戻されたのと前後して、白楽天に長恨歌を作ることを勧めた友人、王質夫も都に召されたと思われる。ところが何かの事情で失脚したらしく、 王は都を追われて故郷へ帰ることになった。その折に白楽天が王に送った詩。 かつてともに遊んだことをなつかしみ、今後そのような喜びが得られないことを嘆くとともに、故郷へ帰れる友人を羨むと言って、 慰めてもいる。 この律詩は首聯も破格(2・2・3でない)の対句となっている。重字、「白」「遊」「時」がある。 「林間暖酒燒紅葉 石上題詩掃綠苔」は古来有名である。和漢朗詠集、平家物語に引用がある。 平家物語 巻第六 紅葉 高倉天皇 |
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字句解釈 |
臂 うで。肩から手首まで。 玄孫 やしゃご。孫の孫。 瀘水 川名。 椒花 山椒の花。 瘴煙 毒気を含んだガス。。 簸旗 はたをふりあげる。 呦呦 人の泣き声の擬声。 |
詩の鑑賞 |
白居易の風諭詩の一例。杜甫の「兵車行」の影響を思わせる。 在野ではない政府の高官が時の政治を嗟く。 やがて左遷の身となる前兆である。 |
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字句解釈 |
南山 長安の南にある終南山。 駕 牛を車の梶棒につなぐこと。 輾 車を転がすこと。 黄衣使者 黄色の衣を着た使者。宦官。 白衫兒 白い衣を着た年若い護衛の兵士。 斤 重さの単位。600グラム。 驅將 「將」は動詞の後につけて動作の具体性を示す。。 匹 反物4丈を1匹という。 丈 1丈は3メートル。 |
詩の鑑賞 |
これらの風諭詩を新楽府と称した。楽府は本来、民情を知るために民謡を集めたのだが、やがて恋愛などが主流となったため、 白居易は元に戻して新楽府といった。約50首の新楽府を作った。 |
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字句解釈 |
禁中 宮中。 銀台 銀台門。または銀の高殿。 金闕 門の上の高殿。 夕沈沈 夜が更けるさま。 相思 相手のことを憶う。(お互いに憶うではない。) 翰林 翰林院、玄宗時代にできた役所。 新月 ①出たばかりの月。②清らかな月。③満月に対する三日月。ここは①。 渚宮 江陵にある三国時代の楚の宮殿。汀の離宮。 煙波 もやの立ち込めた水面。 浴殿 長安の宮殿。 鐘漏 鐘と水時計。 江陵 三国時代楚の都。郢(えい)。 卑濕 湿気の多い。 |
詩の鑑賞 |
白居易の親友元 稹(げんじん)が楚の江陵(荊州、三国時代の郢)に左遷された。 長安から江陵にいる友を懐かしんでいる。長安と江陵は直線距離は約500km(千里)であるが、旅の行程としては1000km (二千里)はある。 「三五夜中新月色 二千里外故人心」古今第一の名対句である。また、長安と江陵をABBAで詠む、律詩の対句の技巧が凝らされている。 この詩は、和漢朗詠集はもちろん、源氏物語(須磨の巻)、謡曲などにも引用されている。 |