第30回講義

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2016.11.24 録音

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白居易 作詩の背景




「白楽天年譜」




「唐王朝年表」

白楽天年譜1 772年 1歳 ~800年 29歳
白楽天年譜2 801年 30歳 ~815年 44歳
白楽天年譜3 816年 45歳 ~826年 55歳
白楽天年譜4 827年 56歳 ~839年 68歳

唐王朝年表1 618年 高 宗 ~779年 代 宗
唐王朝年表2 779年 徳 宗 ~907年 哀 宗



中国文学地図

地名  忠 州  杭 州
川名・湖名  長江  黄河  洞庭湖  淮河  渭水


「人名・用語・書名」

人名  憲 宗  穆 宗  元 稹  韓 愈
用語  刺史  司馬  長史  科挙  宦官  進士

     

 

商山路有感   唐 白居易

漢詩鑑賞辞典502頁  全唐詩卷四百四十三


 商山路有感  白居易

憶昨徴還日,

三人歸路同。

此生都是夢,

前事旋成空。

杓直泉埋玉,

虞平燭過風。

唯殘樂天在,

頭白向江東。


 商山路しょうざんろかんり   白居易はくきょい

おもさく かえさるるの

三人さんにん 歸路きろおなじゅうす

せい すべゆめ

前事ぜんじは たちまくう

杓直しゃくちょくいずみぎょくうず

虞平ぐへいしょくかぜよぎらる

樂天らくてんのこして

かしらしろくして 江東こうとうむか


字句解釈

商山路     秦嶺山脈を南に越える路。 越えると漢江(漢水の支流)が流れており、襄陽を経て武漢に到る。  汴水  揚州  散関  嘉陵江  重慶  終南山 ・驪山  漢江(漢水)  商山 ・藍関・武関・函谷関  関中  商山四皓  輞川  王維

都    ①みやこ②すべて。ここは②。

旋    ①めぐる②たちまち。ここは②。

杓直    人名。

埋玉    埋葬する。

虞平    人名。

江東    江南(南京より南)より広い範囲。

     

詩の鑑賞

822年、白居易51歳、長安での政争に倦んで外任を求め、長安を去ることになり、杭州に赴任の途中、商山路で詠んだ詩。 仏教に帰依している様子が見え、元気がない。



 

醉封詩筒寄微之  唐 白居易

全唐詩卷 卷四百四十六


 醉封詩筒寄微之  白居易

一生休戚與窮通,

處處相隨事事同。

未死又憐滄海郡,

無兒倶作白頭翁。

展眉只仰三杯後,

代面唯憑五字中。

為向兩州郵吏道,

莫辭來去遞詩筒。


 うて詩筒しとうふう微之びしす  白居易はくきょい

一生いっしょうの 休戚きゅうせきと 窮通きゅうつう

處處しょしょ 相隨あいしたがいて 事事同じじおな

いませずして また滄海郡そうかいぐんとなり

くして とも白頭はくとうおきな

まゆべんとして 只仰ただあお三杯さんばいのち

めんかえて 唯憑ただひ五字ごじなか

ため兩州りょうしゅう郵吏ゆうりかいて

するかれ 來去きょらい 詩筒しとうていするを

字句解釈

微之   元稹のこと。822年越州に左遷される。 杭州湾、会稽山、天台山、天目山

詩筒   文書をいれる竹筒。

休戚   楽しいこと、悲しいこと。「休」は①やすむ、②よろこぶ。ここは②。「戚」は悲しむ。憂える。

窮通   窮することと、通ずること。

處處   いたるところ。(ところどころではない。)

滄海郡   海沿いの地方。(郡名ではない。)行政組織は州、郡、県。

無兒   白居易、元稹は子供に恵まれなかった。

展眉   憂いをなくす。

仰    ①あおぐ、②飲む。ここは②。例、毒をあおぐ。

代面    面談にかえて。

遞    はこぶ。例、逓送、逓信省。


詩の鑑賞

白居易が杭州に刺史として赴任した時、元稹も隣の越州に刺史として左遷された。
沢山の詩の贈答が行われた。


 

餘杭形勝  唐 白居易

全唐詩卷四百四十三


 餘杭形勝  白居易

餘杭形勝四方無,

州傍青山縣枕湖。

繞郭荷花三十里,

拂城松樹一千株。

夢兒亭古傳名謝,

教妓樓新道姓蘇。

獨有使君年太老,

風光不稱白髭須。


 餘杭よこう形勝けいしょう  白居易はくきょい

餘杭よこう形勝けいしょう 四方しほう

しゅう青山せいざんい けんうみのぞ

かくめぐる 荷花かか 三十里さんじゅうり

しろはらう 松樹しょうじゅ 一千株いっせんしゅ

夢兒亭むびてい ふるびたるも しゃつた

教妓樓きょうぎろう あらたに姓蘇せいそ

ひと使君しくんとしはなはだおいたる

風光ふうこう かなわず 白髭須はくししゅ


字句解釈

餘杭    西湖の西の地方。

州   杭州。

枕   ①まくら、②のぞむ。

城、郭    城の外側の城壁を郭といい、どちらも城壁のこと。城は平韻、郭は仄韻。

荷花   蓮の花。

拂   おおう、せまる。

繞   巡る、巡回。旋、旋回。繞る、とりまく。

里   500m。

夢兒亭   むびてい、建物の名前。東晋の高官の末、大富豪の謝令雲(陶淵明と同時代)がやってきた。 参考詩

蘇   妓女、蘇しょうしょう。

不稱   そぐわない。


詩の鑑賞

杭州の景色が気に入って詠んだ詩。世俗の悲喜を超えた、花鳥風月に浸った心境が見える。白居易の詩境の頂点。
西湖には白居易の作った白堤、蘇東坡の作った蘇堤がある。


 

金陵五題:烏衣巷  唐 劉禹錫

漢詩鑑賞辞典410頁   全唐詩 卷三百六十五


 烏衣巷  劉禹錫

朱雀橋邊野草花,

烏衣巷口夕陽斜。

舊時王謝堂前燕,

飛入尋常百姓家。


 烏衣巷ういこう  劉禹錫りゅううしゃく

朱雀すじゃく 橋邊きょうへん 野草やそうはな

烏衣うい 巷口こうこう 夕陽斜せきようななめなり

舊時きゅうじ 王謝おうしゃ堂前どうぜんつばめ

んてる 尋常じんじょう 百姓ひゃくせいいえ


字句解釈

烏衣巷   南朝の街名。

烏衣   黒い服。

王謝   王導謝安、などの大貴族。

百姓   ひゃくせい。庶民。


詩の鑑賞

劉禹錫の懐古詩の代表作。



詩 吟  長岡巨知様

夜下墨水   服部南郭



 夜下墨水   服部南郭

金龍山畔江月浮

江揺月湧金龍流

扁舟不住天如水

兩岸秋風下二州


 よる墨水ぼくすいくだる   服部南郭はっとりなんかく

金龍きんりゅう 山畔さんぱん 江月浮こうげつうかび

江揺こうゆらぎ 月湧つきわいて 金龍流きんりゅうなが

扁舟へんしゅう とどまらず 天水てんみずごと

兩岸りょうがんの 秋風しゅうふう 二州じしゅうくだ


 

春題湖上  唐 白居易

全唐詩卷四百四十六


 春題湖上  白居易

湖上春來似畫圖,

亂峰圍繞水準鋪。

松排山面千重翠,

月點波心一顆珠。

碧毯線頭抽早稻,

青羅裙帶展新蒲。

未能抛得杭州去,

一半句留是此湖。


 はる湖上こじょうだいす  白居易はくきょい

湖上こじょう 春來はるきたりて 畫圖がと

亂峰らんぽう 圍繞いじょう みずたいら

まつ山面さんめんはい千重せんじゅうみどり

つき波心はしんてん一顆いっかたま

碧毯へきたんの 線頭せんとう 早稻そうとう

青羅せいらの 裙帶くんたい 新蒲しんぽ

いま杭州こうしゅうなげうあたわず

一半いっぱん 句留こうりゅうするは みずうみ


字句解釈

湖上   みずうみのほとり。(「うえ」ではない。)

鋪   ①しく、②みせ。ここは、①。

排   ①おしのける、②ならべる。ここは、②。

碧毯   みどりの絨毯。

一顆珠   ひとつぶのしんじゅ。

青羅   あおいうすぎぬ。

裙帶   スカート。

展   のべる、ひろげる、ひろがる。展開する。

一半  半分。


詩の鑑賞

824年、53歳の作。3年の任期が尽きようとしている。
世事をはなれ、自然の情景に溶け込んだ美しい詩である。
特に結句がよい。



 

飲 湖 上 初 晴 後 雨 二 首 其 二   北宋 蘇 軾
漢詩を楽しむ43頁  鑑賞辞典622頁


 飲 湖 上 初 晴 後 雨
   二 首 其 二  蘇 軾

水 光 瀲 灔 晴 方 好 ,  

山 色 空 濛 雨 亦 奇 。

若 把 西 湖 比 西 子 ,  

淡 粧 濃 抹 總 相 宜 。


 湖 上こじょうむ はじはれ あめ    蘇 軾そしょく

水 光すいこう 瀲 灔れんえん ruby>晴 方はれまさに

山 色さんしょく 空 濛くうもう あめまたなり

西 湖せいこって 西 子せいしせば

淡 粧たんしょう 濃 抹のうまつ すべよろ



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Last modified    First updated 2016/12/10