第5回講義(その1) 春思二首其二 唐 賈 至 漢詩を楽しむ96頁 音声を聞くにはプラグインが必要です。 (ブラウザの設定にもよりますが音声を聞くには 「ブロックされているコンテンツを許可」し、 スタートボタンをクリックしてください。) |
|
|
字句解釈 |
紅紛 べにおしろい。ここでは化粧した美女、文君のこと。 当壚 壚はいろり。酒のサービスをする。 弱柳垂 弱柳はなよやかなやなぎ、柳の若い枝。が垂れている。 金花 やまぶきいろにかがやいた酒のかす。ビールのような酒で酒の糟が表面に浮いていた。 臘酒 去年の暮れに仕込んだ酒。 解酴醿 酴醿は酒の銘柄。解は菰を解く。 笙歌 笛を吹いたり歌を歌ったりすること。 酔殺 殺はころすではなく、強意の添え字。ずいぶんと酔わせる。(例)笑殺は笑い飛ばすこと。 軽薄児 おっちょこちょい。 |
詩の鑑賞 |
この詩は後漢時代の司馬相如、卓文君について詠ったものであるが、 相如は四川省出身で李白の先輩にあたる。 文君当壚。文君新嫁(一度結婚して間もなくやもめになって再婚すること)。相如琴心(歌に託して思いをつたえる)。 相如四壁(家財道具もなにもない壁だけの貧乏な家。史記「文君夜亡奔相如、相如乃與馳帰成都。家居徒四壁立。」)。 等、相如、文君には故事来歴の話が沢山ある。 李白は成都を離れた後も終生故郷を懐かしんだ。 |
関連詩 少年行 唐 呉象之 唐詩選下147頁 |
|
|
字句解釈 |
承恩 上位の人の恩をうけて。 借猟 猟場を借りて狩猟をする。 小平津 地名。 使気 (漢)意気たからかに。(日)心配する、おもんばかる。 中貴人 高位の人に仕えている人。 一擲千金 千金をはらう。博打、飲み代、慈善などでどんと金をだすこと。 渾是胆 すべて義侠のこころ。 家無四壁 壁があるならまだよい、壁もない家。 不知貧 貧乏など気にもしない。 |
詩の鑑賞 |
相如四壁に関連する詩の例。 |
関連詩 古別離 唐 孟 郊 唐詩選中430頁 |
|
|
字句解釈 |
古別離 古い別れ話。 欲別 欲はbe going to。別れようとして。 郎 郎は夫や恋人。 臨邛 卓文君のいたところ。邛水のほとりにある。 |
詩の鑑賞 |
相如、文君の故事を踏まえた詩の例。 |
清平調詩其二 唐 李 白 漢詩を楽しむ71頁 |
|
|
字句解釈 |
雲雨巫山 故事がある。出典は宋玉(そうぎょく)の「高唐賦(こうとうのふ)」(『文選所収』)。 「昔先王、高唐に遊び怠りて昼寝ぬ。夢に一婦人を見るに、自ら云う。 『我は帝の季女にして、名を瑤姫と曰う。未だ行がずして亡じ、巫山の台に封ぜられる。精魂は草となり、実は霊芝と為る。王の来たり遊ぶを聞き、願わくは枕席を薦めん』と。 王因りて之を幸す。 去らんとして乃ち言う、 『妾は巫山の陽(みなみ)、高邱の岨に在り。旦(あした)には朝雲と為り、暮には行雨と為りて、朝朝暮暮、陽台の下におらん』と。」 枉断腸 枉はまげる、むなしい。巫山の故事は悲しいことだ、それに比し今の玄宗皇帝と楊貴妃はなんと幸せなことか。 飛燕 漢時代の美人。 倚新粧 新しい衣装を着ている。 |
詩の鑑賞 |
この詩も四川省の伝説「巫山の夢」を読み込んだ一例である。 |