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白居易 作詩の背景 |
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字句解釈 |
臂 うで。肩から手首まで。 玄孫 やしゃご。孫の孫。 瀘水 川名。 椒花 山椒の花。 瘴煙 毒気を含んだガス。。 簸旗 はたをふりあげる。 呦呦 人の泣き声の擬声。 |
詩の鑑賞 |
白居易の風諭詩の一例。杜甫の「兵車行」の影響を思わせる。 在野ではない政府の高官が時の政治を嗟く。 やがて左遷の身となる前兆である。 |
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字句解釈 |
南山 長安の南にある終南山。 駕 牛を車の梶棒につなぐこと。 輾 車を転がすこと。 黄衣使者 黄色の衣を着た使者。宦官。 白衫兒 白い衣を着た年若い護衛の兵士。 斤 重さの単位。600グラム。 驅將 「將」は動詞の後につけて動作の具体性を示す。。 匹 反物4丈を1匹という。 丈 1丈は3メートル。 |
詩の鑑賞 |
これらの風諭詩を新楽府と称した。楽府は本来、民情を知るために民謡を集めたのだが、やがて恋愛などが主流となったため、 白居易は元に戻して新楽府といった。約50首の新楽府を作った。 |
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詩の鑑賞 |
農民の重税に苦しむ様子を詠った詩。白居易39歳作。 |
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詩の鑑賞 |
当時流行っていた牡丹花が税金によって買われていることを嘆いた詩。 |
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字句解釈 |
王十八 王質夫。白居易に「長恨歌」を作ることを勧めた友人。 歸山 ①官をやめて隠棲する。故郷に帰る。②僧侶が自分の寺に帰る。③道教では「死ぬ」こと。ここは①。 寄題 その場に行かないで詩を「題」すること。「題」とは詩を書きつけること。 太白峰 太白山。 到來 「帰去来」と同様な用法。「来」は強意の助辞、意味はない。「到+目的語+来」の使い方あり。 潭底 淵(ふち)のそこ。 洞門 洞穴の入口。 惆悵 がっかりして悲しむ。 菊花時節 秋、酒、陶淵明を思わせる。 |
詩の鑑賞 |
白楽天が都に呼び戻されたのと前後して、白楽天に長恨歌を作ることを勧めた友人、王質夫も都に召されたと思われる。ところが何かの事情で失脚したらしく、 王は都を追われて故郷へ帰ることになった。その折に白楽天が王に送った詩。 かつてともに遊んだことをなつかしみ、今後そのような喜びが得られないことを嘆くとともに、故郷へ帰れる友人を羨むと言って、 慰めてもいる。 この律詩は首聯も破格(2・2・3でない)の対句となっている。重字、「白」「遊」「時」がある。 「林間暖酒燒紅葉 石上題詩掃綠苔」は古来有名である。和漢朗詠集、平家物語に引用がある。 平家物語 巻第六 紅葉 高倉天皇 |
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字句解釈 |
禁中 宮中。 銀台 銀台門。または銀の高殿。 金闕 門の上の高殿。 夕沈沈 夜が更けるさま。 相思 相手のことを憶う。(お互いに憶うではない。) 翰林 翰林院、玄宗時代にできた役所。 新月 ①出たばかりの月。②清らかな月。③満月に対する三日月。ここは①。 渚宮 江陵にある三国時代の楚の宮殿。汀の離宮。 煙波 もやの立ち込めた水面。 浴殿 長安の宮殿。 鐘漏 鐘と水時計。 江陵 三国時代楚の都。郢(えい)。 卑濕 湿気の多い。 |
詩の鑑賞 |
白居易の親友元 稹(げんじん)が楚の江陵(荊州、三国時代の郢)に左遷された。 長安から江陵にいる友を懐かしんでいる。長安と江陵は直線距離は約500km(千里)であるが、旅の行程としては1000km (二千里)はある。 「三五夜中新月色 二千里外故人心」古今第一の名対句である。また、長安と江陵をABBAで詠む、律詩の対句の技巧が凝らされている。 この詩は、和漢朗詠集はもちろん、源氏物語(須磨の巻)、謡曲などにも引用されている。 |
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字句解釈 |
黄昏 たそがれ。 佛堂 母を祀った仏堂。 槐 えんじゅ。あかしやににる。花は白、黄色。 大抵 おおよそ、おおかた。多分(perhaps)ではない。 四時 1年、春夏秋冬。1月、晦(かい)・朔(さく)・弦(げん)・望(ぼう)。1日、黄昏(こうこん)(午後8時)・後夜(ごや)(午前4時)・早晨(そうじん)(午前10時)・晡時(ほじ))(午後4時)。 苦 かなしい。 就中 とりわけ。 腸斷 故事あり。 |
詩の鑑賞 |
白居易四十歳のとき、母(陳氏)が亡くなり、長安東方70~80Kmの下邽(かけい)で3年の喪に服することになった。 これまでの詩と趣が変わって、この世の哀愁が詠われている。 |
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字句解釈 |
蒼蒼 ①さかんなさま。②おいたさま。③草木のあおあおとしたさま。④天、月があおい。⑤草木の盛んなさま。ここでは②、③。 切切 ①つとめはげむ。②声がほそいくたえない。ここは②.。 蕎麥 そば。 |
詩の鑑賞 |
寂しい情景。戸隠によく似た情景がある。 |
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字句解釈 |
慈烏 =慈鴉。からす。 啞啞 ああ、鴉の泣き声。 經年 ながいあいだ。 反哺 哺はくちうつしにあたえること。 應 まさにーーべし。推量。であろう。 呉起 人名。孫呉と並び称される兵法家。 嗟哉 かなしいかな。> 曾參 人名。弟子が孝経を書いた。西安の碑林に孝経の立派な石碑がある。 |
詩の鑑賞 |
五言古詩。4句で1節をなす。平仄、下3連などの規則は問わない。韻はふむ。この詩は一韻到底である。 鴉に託して自分の母に対する心を詠っている。 |
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字句解釈 |
雙燕 二羽のつばめ。 兩椽 日本のたるき。「のき」は檐、簷(えん)。 孜孜 つとめはげむ。ピーピー啼く。 觜爪 くちばしとつめ。 須臾 短い時間。 漸 しだいに。(やっとではない。) 喃喃 ぺちゃくちゃとしゃべり続けること。「喋喋喃喃」小声で親しげに話し合うさま。また、男女がむつまじく語り合う さま。 啁啾 かなしげになく。 爾當返自思 當 当然のまさにーーべし。 今日爾應知 應 まさにーーべし。推量のまさに。 |
詩の鑑賞 |
五言古詩。4句で1節をなす。燕に託して自分の母に対する心を詠っている。 韻は支、微の通韻。 雌(支)兒(支)孜(支)期(支)疲(支)饑(微)肥(微)衣(微)枝(支)飛(微)歸(微)悲(支)悲(支)思(支)時(支)知(支)。 燕に託して自分の母に対する心を詠っている。 「親孝行したいときには親はなし墓に布団も着せられず」 |
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字句解釈 |
晦日 三十日と表記したテキストもある。1,2,3月が春、4月から夏。三十日は陰暦では春三月の最後の日。 慈恩寺 唐第2代皇帝太宗の第9子、 唐第3代皇帝高宗が母の没後に建立した寺。 三蔵法師玄奘ゆかりの寺。 <参考>唐王朝年表 裴回 ゆきつかえりつ。 惆悵 かなしい。 |
詩の鑑賞 |
白居易43,44歳ころの作。この詩は唐詩選、三体詩にはないが和漢朗詠集にあり、日本ではよく知られている。 春の去るのを惜しむなぞ、白居易の詩風が変化してきている。 源氏物語に「四月一日のころ。我が宿の藤の色濃き黄昏に訪ねやは来ぬ春の名残を」。 松尾芭蕉に「くたぶれてやどかるころやふじのはな」「ほととぎすやどかるころのふじのはな」。 松田鉄也「長安の月 寧楽の月―仲麻呂帰らず」。 白居易44歳元和10年(815年)一大事件が起こり、それに巻き込まれて左遷されることになる。 時の宰相武元衡が剣南西河節度使を兼て 蜀(成都)に居たとき暗殺された。それを非難したため、越権行為として罰せられた。 剣南節度使としては5,60年前の杜甫を援助した厳 武が思い出される。 |
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字句解釈 |
香爐峰 廬山にある香爐の形をした山。独立峰ではなく連山。 廬山の廬はいおり。廬山には李白も一時いたことがある。 卜山居 卜はうらなう。卜居は家を建てること。 草堂 草ぶきの粗末な家、自分の家。 題 書きつける。 初成 初めてできたのではなく、できたばかりの意。 猶慵起 起きるのが面倒だ。 小閣 二階建ての小さな家。閣は2階建。 重衾 衾(しとね)はどてら、か。 香爐峰雪撥簾看 清少納言 枕草子 第二百九十九段 「雪のいと高う降りたるを例ならず御格子まゐりて、炭びつに火おこして、物語などして集まりさぶらうに、 「少納言よ、香炉峰の雪いかならむ。」と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、 笑はせたまふ。人々も「さることは知り、歌などにさへ歌へど、思ひこそよらざりつれ。 なほ、この官の人にはさべきなめり。」と言ふ。」 欹枕 枕をちょっと立てる。 匡廬 廬山のこと。 逃名 名声など俗世間のことから逃れた。 司馬 長官は刺史、司馬はその補佐。本来は馬を司る官だが実際は左遷された人の閑職。 歸處 落ち着くところ。 |
詩の鑑賞 |
中唐の大詩人、白居易(号は白楽天)の詩の中で日本人に最もよく知られた詩である。 44歳の時に長安の宮廷の派閥闘争に敗れて左遷の身となり、司馬となって蘆山に居をなした時の詩であり 不遇の身の屈折した感情が読み取れる。 心中に憤懣が渦巻いているがそれを表に出さず、閑職の朝寝を幸いとして落ち着くところは長安のみではなかろうと嘯いている。 悪く言えば負け惜しみ、よく言えば精神の強さがあり、孟浩然、杜甫とはまた違った趣がある。 |