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白居易 作詩の背景 |
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字句解釈 |
黄昏 たそがれ。 佛堂 母を祀った仏堂。 槐 えんじゅ。あかしやににる。花は白、黄色。 大抵 おおよそ、おおかた。多分(perhaps)ではない。 四時 1年、春夏秋冬。1月、晦(かい)・朔(さく)・弦(げん)・望(ぼう)。1日、黄昏(こうこん)(午後8時)・後夜(ごや)(午前4時)・早晨(そうじん)(午前10時)・晡時(ほじ))(午後4時)。 苦 かなしい。 就中 とりわけ。 腸斷 故事あり。 |
詩の鑑賞 |
白居易四十歳のとき、母(陳氏)が亡くなり、長安東方70~80Kmの下邽(かけい)で3年の喪に服することになった。 これまでの詩と趣が変わって、この世の哀愁が詠われている。 |
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字句解釈 |
蒼蒼 ①さかんなさま。②おいたさま。③草木のあおあおとしたさま。④天、月があおい。⑤草木の盛んなさま。ここでは②、③。 切切 ①つとめはげむ。②声がほそいくたえない。ここは②.。 蕎麥 そば。 |
詩の鑑賞 |
寂しい情景。戸隠によく似た情景がある。 |
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字句解釈 |
慈烏 =慈鴉。からす。 啞啞 ああ、鴉の泣き声。 經年 ながいあいだ。 反哺 哺はくちうつしにあたえること。 應 まさにーーべし。推量。であろう。 呉起 人名。孫呉と並び称される兵法家。 嗟哉 かなしいかな。> 曾參 人名。弟子が孝経を書いた。西安の碑林に孝経の立派な石碑がある。 |
詩の鑑賞 |
五言古詩。4句で1節をなす。平仄、下3連などの規則は問わない。韻はふむ。この詩は一韻到底である。 鴉に託して自分の母に対する心を詠っている。 |
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字句解釈 |
雙燕 二羽のつばめ。 兩椽 日本のたるき。「のき」は檐、簷(えん)。 孜孜 つとめはげむ。ピーピー啼く。 觜爪 くちばしとつめ。 須臾 短い時間。 漸 しだいに。(やっとではない。) 喃喃 ぺちゃくちゃとしゃべり続けること。「喋喋喃喃」小声で親しげに話し合うさま。また、男女がむつまじく語り合う さま。 啁啾 かなしげになく。 爾當返自思 當 当然のまさにーーべし。 今日爾應知 應 まさにーーべし。推量のまさに。 |
詩の鑑賞 |
五言古詩。4句で1節をなす。燕に託して自分の母に対する心を詠っている。 韻は支、微の通韻。 雌(支)兒(支)孜(支)期(支)疲(支)饑(微)肥(微)衣(微)枝(支)飛(微)歸(微)悲(支)悲(支)思(支)時(支)知(支)。 燕に託して自分の母に対する心を詠っている。 「親孝行したいときには親はなし墓に布団も着せられず」 |
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字句解釈 |
嘉陵驛 剣門山近くの嘉陵の宿場 風旆 錦の御旗 蜀門 蜀国(成都)の門。 |
詩の鑑賞 |
武元衡が剣南西川節度史として成都鎮圧に向かった時の詩。 |
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字句解釈 |
初貶官 官をやめさせられてすぐ。(最初の左遷の意ではない。) 望秦嶺 秦嶺山脈。秦(秦国)を望む山。 草草 あわてるさま。あわただしいさま。 後事 ①あとのこと。②死後のこと。ここは①。 遲遲 物事の進まないさま。気の進まぬさま。 白鬚 あごひげ。ひげには3種あり。鬚(しゅ):あごひげ、髭(し):くちひげ、髯(ぜん):ほほひげ。 白居易肖像 |
詩の鑑賞 |
江州(九江)に左遷されたときの詩。あわただしい中にも、起句、承句は見事な対句となっている。 平仄まで逆になっている。踏み落とし。 |
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字句解釈 |
韓愈 中唐の大詩人。李白、杜甫と韓愈、白居易はまるで生まれ変わりのような関係にある。 李白701ー762、杜甫712-770、韓愈768-824、白居易772-846。 侄孫 兄弟の孫。ここでは韓愈の兄の孫。 藍關 秦嶺山脈中の関所、藍田關。 一封朝奏 憲宗の拝佛に対し、「論佛骨表」を奉り、 広東省と福建省の中間の潮州に左遷された。 路八千 八千里=500m*8000里=4000km、直線距離2000km。 聖朝 憲宗皇帝。 馬不前 乃木希典「金州城作」に用例あり。 瘴江 毒気の川。 |
詩の鑑賞 |
韓愈が819年潮州に左遷された時の詩。左遷の詩の代表的作品。 韓愈は儒教、白居易は仏教。白居易の詩より悲痛である。 翌年憲宗が毒殺され、韓愈は長安に呼び戻された。 |
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字句解釈 |
元九 元 稹 殘 ①おとろえる。②のこる。ここは①で読みたい。 |
詩の鑑賞 |
九江左遷の途中、長江船上の詩。 詩:2回、燈:3回使用されている。ただし、燈前、燈殘、燈滅と時系列の用法は絶妙である。 逆風は政局の逆風を暗示する。 |
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字句解釈 |
元九 元 稹 謫 左遷。 殘燈 燃え尽きかけたともしび。 幢幢 ゆらゆら。 垂死 死になんなんとす。死にそう。 坐起 起き上がって座りなおす。 |
詩の鑑賞 |
白居易の左遷されたことを聞いた元九の作。このとき、元九も左遷の身で、 忠州の西北山中120km通州の 司馬であった。 此の詩に対する白居易の感想「此句他人 尚不可聞 況僕心哉 至今毎吟 猶惻惻耳」 (この句他人尚聞くべからず 況や僕の心おや 今に至るも吟ずるごとに 猶お惻惻たるのみ)。 二人の友情溢れる詩である。 |
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字句解釈 |
香爐峰 廬山にある香爐の形をした山。独立峰ではなく連山。 廬山の廬はいおり。廬山には李白も一時いたことがある。 卜山居 卜はうらなう。卜居は家を建てること。 草堂 草ぶきの粗末な家、自分の家。 題 書きつける。 初成 初めてできたのではなく、できたばかりの意。 猶慵起 起きるのが面倒だ。 小閣 二階建ての小さな家。閣は2階建。 重衾 衾(しとね)はどてら、か。 香爐峰雪撥簾看 清少納言 枕草子 第二百九十九段 「雪のいと高う降りたるを例ならず御格子まゐりて、炭びつに火おこして、物語などして集まりさぶらうに、 「少納言よ、香炉峰の雪いかならむ。」と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、 笑はせたまふ。人々も「さることは知り、歌などにさへ歌へど、思ひこそよらざりつれ。 なほ、この官の人にはさべきなめり。」と言ふ。」 欹枕 枕をちょっと立てる。 匡廬 廬山のこと。 逃名 名声など俗世間のことから逃れた。 司馬 長官は刺史、司馬はその補佐。本来は馬を司る官だが実際は左遷された人の閑職。 歸處 落ち着くところ。 |
詩の鑑賞 |
中唐の大詩人、白居易(号は白楽天)の詩の中で日本人に最もよく知られた詩である。 44歳の時に長安の宮廷の派閥闘争に敗れて左遷の身となり、司馬となって蘆山に居をなした時の詩であり 不遇の身の屈折した感情が読み取れる。 心中に憤懣が渦巻いているがそれを表に出さず、閑職の朝寝を幸いとして落ち着くところは長安のみではなかろうと嘯いている。 悪く言えば負け惜しみ、よく言えば精神の強さがあり、孟浩然、杜甫とはまた違った趣がある。 |
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字句解釈 |
跼蹟情 背をかがめて平身低頭するおもい。 |
詩の鑑賞 |
菅原道真の大宰府での?。「都府樓纔看瓦色 観音寺只聴鐘聲」に白居易の影響が見える。 |
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字句解釈 |
垢塵 あかやちり。 玉 美しい心。 靈鳳 おおとり。 膻 羊の生肉。汚い職にたとえた。 陶靖節 陶淵明。 靖節:清らかな節操。 孤竹子 孤竹君の子。伯夷、叔齊。 夷齊 伯夷、叔齊。 一身 独身。 五柳傳 五柳傳先生傳 拳拳 拳拳服膺。心に抱いて忘れない。「中庸」にある言葉。 森 森厳。おごそか。 不慕尊有酒,不慕琴無弦 「挂冠」参照。 籬下菊 「飲酒」参照。 依然 古を慕うさま。 |
詩の鑑賞 |
九江には陶淵明の旧家があり白居易が訪ねたとき(816年)の作。九江には3年間居た。 |
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字句解釈 |
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詩の鑑賞 |
「採 菊 東 籬 下」菊を浮かべて酒を飲む。菊は薬草。 |